【案件解説】運送業の営業所・休憩睡眠施設・車庫の移転手続き
このページでは、シグマが運送業(一般貨物運送事業)の許認可申請手続きの代理した案件について解説するページとなっております。
同じようなお困りごとでお悩みの運送事業者様への情報提供にあわせて、シグマが提供している運送業許認可法務サービスが具体的にどのようなものかをイメージする一助となればと思います。
なお、ご紹介する事例はあくまでも一例ですので、個別の事業によって対応法が異なる場合があります。また、守秘義務に反しない範囲での情報提供となっていることをご了承ください。
Contents
ご相談のきっかけ
ご依頼者の運送事業者様は、過去に運送業の新規許可申請をシグマにご依頼いただいた埼玉県内の事業者様です。
許可取得後、法令遵守体制構築のための顧問サービスのご依頼に加えて、毎年の事業報告書・事業実績報告書の提出代行や、本店移転、運行管理者・整備管理者の変更手続きなどの行政手続きなど、継続的にお手伝いしておりました。
移転前の車庫は営業所から離れた場所にあったため、社長は前々より営業所に車庫を併設したいという構想をお持ちでした。
移転前の営業所・車庫を借りた際に仲介を担当した不動産会社より、近所にある営業所と車庫が同一敷地内にある、規模・賃料ともに事業規模に適した物件情報をご紹介いただいたとのことで、仮申し込みを入れて、移転の可否を具体的に検討することになりました。
移転のための認可要件の整理
移転可否の検討では、移転候補物件が運送業の施設要件を満たしているかについて行政書士が確認を行います。
営業所、休憩睡眠施設、車庫のそれぞれには、移転認可を取得するための要件が定められています。
移転認可の要件は許可要件と同レベルの厳しさで、すでに許可を取得している事業者だからといって要件が緩和されるものではありません。
営業所・休憩睡眠施設としての検討
営業所・休憩睡眠施設として使用する建物は、建築関係法令に違反していないことを確認します。都市計画法によって定められている用途地域が適切であるのか、建物は違法建築物ではないかといったことを調査します。
さらに、今回の運送事業者様は、休憩睡眠施設において仮眠をとる運行形態であるため、睡眠を与える必要がある運転手1名あたり2.5㎡以上の広さを確保できるかどうかも確認しました。
車庫としての検討
車庫は、農地でないことと、面積と接道の幅員についての確認が重要になってきます。
面積は、車両の前後左右に50cmの間隔をあけて駐車できるかどうかや、接道の幅員が駐車する車両と関係で車両制限令に抵触していないかの確認も行いました。
注意すべき点として、接道の幅員は、道路を実寸した数値ではなく、道路管理者より幅員証明書が取得できる接道の場合は、幅員証明書に記載されている数値を基に検討しなければならないということがあります。
さらに、車庫の調査を行う際は、現在使用している車両がすべて駐車可能かどうかはもちろんですが、今後、増車する車両の大きさを含めて検討する必要があります。
確認の方法は、図面や登記簿謄本などの書類上の確認とあわせて、行政書士が移転先となる物件に実際に出向き、物件所有者様、不動産会社様、事業者様立会いのもと、現地の確認を行うことで進めました。
前使用者の状況確認も重要
今回の移転先の候補物件は、直近まで別の運送事業者様が休憩睡眠施設と車庫として使用していた物件でした。
このようなケースでは、前使用者である運送事業者が休憩睡眠施設・車庫の移転認可申請を行っていない場合、つまり「運輸局の書類上、前使用者がその場所をまだ使用していることになっている」と、そこへの移転認可申請を行っても、運輸支局内の審査が中断してしまいます。
そのため、前使用者が移転手続きを行っているかの確認も重要な確認事項となります。
調査完了
認可要件の調査を行い、論点を全て整理した結果、移転先の物件は運送業で使用するための要件を満たしていると判断できたため、事業計画変更認可申請手続きの準備を具体的に進めることといたしました。
なお、賃貸物件の場合、契約期間が認可取得日から2年以上あることを求められます。候補物件の契約期間は3年であり、自動更新条項を検討する余地もなく、契約期間は問題なしとの判断を行いました。
申請書類の作成
物件の賃貸借契約締結手続きと同時進行で、事業計画変更認可申請書の準備を進めました。今回の申請では、下記の書類を準備して、営業所を管轄する運輸支局へ提出いたしました。
- 事業計画変更認可申請書(別紙を含む)
- 事業用自動車の運行管理及び整備管理の体制(様式1-1と様式1-2)
- 賃貸借契約書
- 宣誓書(様式例1)
- 案内図
- 見取図
- 平面図
- 求積図
- 写真
- 道路幅員証明書
- 宣誓書(様式例3)
- 委任状
写真は、営業所・休憩睡眠施設・車庫が認可要件を満たしていることがわかるように死角が生じないように撮影するのがポイントです。
車庫の写真は敷地と接道の位置関係がわかるように、様々な方向から撮影したものを提出しています。
提出部数は、運輸支局提出用の正本1部と事業者様控え1部の計2部です。運輸支局の窓口に持参して受付されたら、事業者様控えにも受付印を押していただきます。
運輸支局の審査
申請先の運輸支局やその他の状況によって、審査が完了するまで期間の長短はありますが、首都圏の運輸支局の場合は、審査期間がおよそ2~3か月のことが多いです。
審査内容に、不明点や書類の不備があれば運輸支局から電話やFAXがありますが、逆に審査が順調に進んでいる場合は何も連絡がありません。
この審査期間中に、認可取得後の手続きの準備を進めておくと、許可が出たあとの手続きがスムーズです。
今回のように営業所・休憩睡眠施設・車庫の移転のケースでは、使用の本拠の位置に変更が生じるため、車検証の書換手続きが発生します。
そのため、車検証を書き換える際に必要となる事業用自動車等連絡書・手数料納付書の作成を進めたり、運行・整備管理者選任届出に記載されている営業所の所在地変更手続きの準備も進めたりしていました。
認可取得とその後の手続き
運輸支局内の審査・決裁が完了すると電話で認可の連絡があり、輸送窓口へ認可書を受領に出向きます。認可書の受領とあわせて、事業用自動車等連絡書・手数料納付書に経由印を貰います。
さらに、保安窓口に移動して、移転後の営業所所在地を記載した運行・整備管理者選任届出を提出して、事業者様控えを提出し、受理印をもらいます。
この後は、車検証上に記載されている使用の本拠の位置を変更する変更登録申請手続きを登録窓口にて行い、新しい車検証が発行されたら、運輸局への営業所・休憩睡眠施設・車庫の移転に関する手続きは完了です。
最後に
営業所・休憩睡眠施設・車庫の移転手続きは、移転先物件の使用権原を取得してからの申請となります。
賃貸物件の場合は、賃貸借契約締結後の申請となるため、物件は借りたはいいけどその建物・土地が運送業の営業所や車庫として使用できないという最悪の事態を防がなければなりません。
そのため、物件選定の際の調査が非常に重要になるのです。
ここは難易度の高い判断になることもありますので、失敗したくない事業者様は、私どものような運送業許可の経験豊富な専門家のサポートを受けるということも検討してみてはいかがでしょうか。
行政書士法人シグマでは、運送業許可に関する手続きに豊富な経験があり、高い専門性がございますので、運送業の営業所・休憩睡眠施設・車庫の移転手続きで失敗したくない運送業者様は、行政書士法人シグマにお問い合わせください。
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