【案件解説】運送業の車庫の拡張申請
このページでは、シグマがご依頼を受けた運送業(一般貨物自動車運送事業)許可に関する手続きについて紹介します。
同じようなお困りごとをお持ちの運送業者様への情報提供に合わせて、シグマをご利用いただく際のご参考になればと思います。
なお、ご紹介する事例は、あくまでも一例ですので、個別の事情によって必ずしも他の事例に当てはまるわけではありませんので、その点をご了承ください。
Contents
ご相談のきっかけ
近々に車両の増車を予定されている運送会社様が、「現在認可を取得されている車庫のみでは収容能力(面積)が不足するため、増車手続きが行えない」とお困りでした。
過去に手続きを依頼していた行政書士さんがいらっしゃったようですが最近は疎遠になってしまったということで、運送会社社長から依頼を受けた顧問税理士さんが、一般貨物の許認可手続きに明るい行政書士事務所を探された際に、偶然にもシグマのウェブサイトをご覧になり、問い合せフォームからご相談メールをいただきました。
手続きの進め方の検討
ご相談内容の概要を伺うため、顧問税理士さんとシグマの行政書士が何回かメールでやりとりをしたところ、今回のご相談内容は、現在使用されている車庫に関する運輸局への申請書類と現地の状況を確認をしながら打合せをした方がより突っ込んだコンサルティングができると判断したため、行政書士が運送会社さんの営業所へ伺うことにいたしました。
打合せ当日は、運送会社の社長、お問合せいただいた顧問税理士さんとお話をしました。
会社側からは現在の事業内容と今回の増車のきっかけについてご説明いただきました。営業所から徒歩圏内に土地を借りて認可申請を検討されていましたが、なかなか条件にある土地が見つからずお困りでした。
そこでシグマの行政書士が、現在使用している車庫を認可取得時の申請書類一式を確認するとともに、現地を確認したところ、駐車場の一部に認可を取得していない箇所があることが判明しました。
その場所で認可を取得できれば、現在の車庫でも数台の増車手続きが可能になるため、車庫面積の拡張を目指す事業計画の変更認可申請を行うことにしました。
また、打合せの現場にて、行政書士が運送会社様の商業登記簿を閲覧したところ、最近、複数名の役員(取締役・監査役)が就任されていることがわかりました。
許認可申請書類が綴じられているファイルに役員変更届出書がなかったため、運輸局への役員変更届出の提出をされたかどうかを会社側に確認したところ、提出はこれからとのことでした。
そこで、車庫拡張の認可申請とあわせて、役員変更届出手続きもあわせて行うことといたしました。
実際の手続きの流れ
- 認可要件の調査
- 土地使用承諾書の手配
- 道路幅員証明書の手配
- 捺印書類の作成・調印
- 運輸支局へ申請書類の提出
- 運輸支局の審査
- 認可書の受取
1.認可要件の調査
現在認可を受けている車庫ですが、念のため、認可要件のチェックを行いました。
- 用途地域は工業地域内であり非農地。
- 接道は大型車であっても車両制限令に抵触しない。
- 都市計画法等関係法令にも抵触しない。
上記の項目が確認できたため、車庫拡張申請のための認可要件を満たしていると判断しました。
2.土地使用承諾書の手配
使用されている車庫は借地のため、運輸支局への認可申請を進めるためには賃貸借契約書のコピーが必要になります。
運送会社様より賃貸借契約書のコピーをいただいたところ、駐車場に隣接している事務所・倉庫と包括的に借り受ける賃貸借契約書となっていました。
さらに賃貸借契約書を精査すると、契約書に記載されている契約期間は既に満了しておりましたが、自動更新条項が入っているため、契約期間中であると契約書上からも判断することができました。
しかし、その賃貸借契約書には、車庫として借り受けている土地面積の記載がなく、借り受けている車庫から公道につながる通路部分の通行承諾に関する記載がありませんでした。
この契約書では、運輸支局での審査に耐えることができないと判断したため、必要事項を盛り込んだ「土地使用承諾書」を作成し、運送会社様経由で、土地所有者の方より捺印をいただきました。
3.道路幅員証明書の手配
認可を取得している車庫の面積を増やす変更認可申請であっても、道路幅員証明書を提出する必要があります。
道路幅員証明書は道路管理者宛に申請して発行してもらいますが、道路幅員証明書の取得日数や必要書類は、道路管理者によって異なります。
申請書を提出すればその場で発行してもらえることもあれば、申請書提出後に行政側が現地を測量してからでなければ発行してもらえなかったりといった違いがあり、現地測量が必要なケースでは、過去に最も時間がかかった事例では、申請から発行まで3週間近くかかりました。
また、一般的な提出書類である車庫の周辺地図の他に、法務局から発行される公図の提出を求められる場合もあります。
このように道路管理者によって対応がまちまちですので、事前にホームページや電話で確認を行ってから、道路幅員証明の申請を行います。
一部の道路管理者は郵送でも申請の受け付けをしていますが、受取時には発行手数料の納付があるため、道路管理者の窓口に出向く必要があります。
今回の車庫の接道の場合、申請から受取までに必要な日数は2週間と記載されていましたが、担当官のご尽力と申請書を提出したタイミングが良かったようで、申請した翌日に幅員証明書が発行されました。
4.提出書類の作成・調印
今回の車庫拡張の認可申請には以下の書類が必要でした。
- 事業計画変更認可申請書
- 土地使用承諾書
- 宣誓書(事変様式3)
- 案内図
- 見取図
- 平面求積図
- 宣誓書(様式例1 法人申請用)
- 接道の道路幅員証明書
- 行政書士への申請に関する委任状
平面求積図は、現在の車庫の認可を取得した際の図面がありましたので、それを参照しながら現地を測量してシグマにて作成しました。
5.運輸支局へ申請書類の提出
提出書類が全て整いましたら、運輸支局へ申請書類を持ち込みます。提出先窓口は、営業所を管轄する運輸支局の輸送担当です。
書類を提出するとその場で運輸支局の担当官が書類の確認が行われます。
窓口での書類確認は、不足書類がないかといった形式的な審査のみで内容の審査は行われませんので、不足書類がないと担当官が判断すれば受付印が捺印され、書類が受理されます。
6.運輸支局の審査
車庫に関する事業計画変更認可申請の審査は、運輸支局内で行われます。
公表されている一般的な審査期間(この期間は標準処理期間と呼ばれています)は1~2か月となっていますが、関東運輸局管内の東京・神奈川・千葉・埼玉の運輸支局ではおおむね2か月かかります。
提出書類に不備や申請内容に確認がある場合は、担当官から電話やFAXで補正指示や確認の連絡があります。
今回の認可申請ではシグマが代理人となっていますので、確認や補正がある場合はシグマ宛に連絡が入るため、運送会社様が直接担当者に対応する必要はありません。
審査期間の後半、おそらく支局内の最終決裁の段階で、担当官から確認事項の連絡がありました。
具体的には、事業報告書と事業実績報告書の提出期限を過ぎていたため、その提出準備状況の確認でした。
これらの報告書は、運送会社様からトラック協会を経由して提出されることになっていましたので、運送会社様には運輸支局側から確認があったことをお伝えし、報告書の早めの提出をお願いしました。
その後、すぐに運送会社様から提出が完了した旨の連絡をいただきました。このように迅速にご協力いただけると審査がスムーズに進むので助かりました。
7.認可書の受取
運輸支局側での審査が完了すると、運輸支局の担当官より認可がおりた旨の電話連絡が入ります。その後、シグマの担当者が運輸支局の窓口に出向き、運送会社様を代理して受け取ります。
ここからは増車する車両の登録手続きとなりますが、登録手続きはディーラーさん側で行われるため、事業用自動車等連絡書の取得以降の手続きはシグマでは対応せずに、認可書と申請書類の控えを運送会社様に引き渡しをし、ご依頼いただいた車庫拡張の認可申請手続きは完了となりました。
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