しっかりわかる!運送業許可取得の要件
これからトラック運送会社を作りたいと思っているのですが、緑ナンバーをつけて運送業をするには許可が必要だと聞きました。
許可を取るためにはどのような準備が必要ですか?
必要な許可は、正式には「一般貨物自動車運送事業許可」と言います。
一般には運送業許可と呼ばれることが多いですし、運送業免許と呼ばれる方もいらっしゃいます。
以前は免許制でしたら、現在は許可制になっています。
許可を取るためには、大きく分けて「人」「物」「金」に関する様々なハードルをクリアしなければなりません。
具体的にはどのようなものがありますか?
「人」は運行管理者や整備管理者といった管理者や運転者に関するもので、「物」は営業所、車庫、休憩・睡眠施設そして車両に関するもの、「金」は事業のための資金や保険に関するものです。
それではそれぞれについて詳しく見ていきましょう。
※本記事は、関東運輸局管内で手続きをすることを前提として書かれています。
Contents
運送業許可の要件
運送業(一般貨物自動車運送事業)許可を取得して、緑ナンバーの車両で営業をするためには、様々な要件を満たす必要がありますが、要件を満たすと一口に言っても、わかりにくい要件もあって、簡単に把握することが難しい面もあります。
トラック運送業を始めたい方の中には、「許可を取りたいが要件を満たせるのかよくわからない」という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、トラック運送業の許可を取るための要件をざっくりとわかるように、関東運輸局管内でのケースを想定しながら解説したいと思います。
許可取得の手続きはどのような流れで進んでいくのか、どのくらいの時間がかかるのかといった手続きの全体像については、「運送業許可申請の流れと期間の目安」で解説しています。
それでは早速解説に入ります。運送業許可の要件には細かく様々なものがありますが、大きく「人」「物」「金」の3つに分けてみるとわかりやすいです。
順番に1つずつ見ていきましょう。
要件をざっくりと確認したい方は、目次の項目だけを拾って読んでみてください。
「人」に関する要件
運送業許可取得に関する、人についての要件には以下のようなものがあります。
- 申請者の法令試験への合格
- 申請者が欠格事由に該当しないこと
- 5人以上の運転者
- 運行管理者
- 整備管理
それでは1つずつ簡単に解説していきます。
法令試験
申請者が法令試験に合格しなければ運送業の許可を取得することはできません。
法令試験は、一般貨物自動車運送事業法をはじめとした自動車運送に関する法令が出題範囲となり、試験時間50分で30問の問題が出され、24問(8割)以上の正解で合格です。合格率は60%前後で推移しています。
法令試験を受験するのは、個人事業の場合は事業主本人、株式会社などの法人であれば運送事業の担当する常勤の役員(代表取締役、取締役など)のうちの1人です。
受験のタイミングは許可申請後で、2回以内に試験に合格できなければ、その申請は却下となってしまうという非常に厳しい制度になっています。
実務的には運輸局が却下処分する前に許可申請を取り下げます。
法令試験は許可申請前には受験できませんし、複数の方が同時に受験することもできません。
開業の準備をしながら勉強することになるので、なかなか大変な試験ですが、事業を開始するためには必要と割り切って準備をしましょう。
より詳しくは「運送業許可のための法令試験」で解説しています。
欠格事由
許可申請者が以下のどれか1つにでも該当してしまうと許可を取得することができません。
- 1年以上の懲役または禁錮以上の刑を受けてから5年経過していない
- 一般貨物自動車運送事業または特定貨物自動車運送事業の許可取消しから5年経過していない
- 許可申請者の密接関係者(親会社・子会社・グループ会社等)が一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可取消しから5年経過していない
- 一般貨物自動車運送事業または特定貨物自動車運送事業の許可取消しの処分逃れのため自主廃業した場合、その届出の日から5年を経過していない
- 許可申請者が営業に関して成年者と同一の行為能力を有しない未成年者又は成年被後見人である場合、その法定代理人が上記3.を除く欠格事由に該当する場合
許可申請者が個人の場合は個人事業主が上記1.~5.のいずれかの欠格事由に該当してしまうと許可を取得することができません。
許可申請者が法人の場合は、その法人の役員(取締役と監査役)が1.~2.と4.~5.の欠格事由に該当しないかが審査対象となります。
より詳しくは「運送業許可を取れない人は?」で解説しています。
5人以上の運転者
トラック運送事業を経営するための許可を取得するためには最低5台の車両が必要となるため、最低でも5人の運転者が必要になります。
運転者は、日雇いや2ヶ月以内の短期雇用ではなく、事業用自動車を運転することができる自動車免許を所持していなければなりません。
申請書提出時点で5人の運転者を確保できていない場合であっても、許可申請手続き自体は進められます。
許可取得後の運輸開始前報告の前までに5人以上確保できる見込みであれば、許可申請手続きを進めることが可能です。
言い換えれば、車両5台に対して運転者を5名確保できない場合は、運送業許可を取得できても、事業用ナンバーの交付を受けることができずに事業を開始ができないという制度運用になっています。
運行管理者
運送業の許可を取得し運輸開始を行うためには最低でも常勤の運行管理者を1名確保する必要があります
運行管理者の所要人数は車両29台までは1名。以降30台ごとに1名増員の必要がありますが、新規許可申請時の30台以上で申請される申請者はいらっしゃらないと思います。
運行管理者には、5年以上の実務経験と5回以上の講習受講でなることは可能ですが、一般的には、運行管理者試験に合格する方法で運行管理者に就任できる資格を取得します。
なお、運行管理者試験を受験するためには、
- 1年以上の事業用自動車の運行管理の実務経験
- 自動車事故対策機構などが開催する運行管理者基礎講習を修了
のいずれかを満たす必要があります。
取得しようとする運行管理者資格者証の種類の事業用自動車の運行の管理に関し5年以上の実務経験があり、その間に運行の管理に関する講習を5回以上受講していること等の要件を満たしていれば、試験に合格せずとも運行管理者になることができます。
しかし、こちらは珍しいケースで、運行管理者試験を受験される方が多いと思います。
また、地方運輸局長から解任命令を出されて解任されてから2年経過していない人は運行管理者になれません。
運転者と同じく、申請の時点に間に合わなくても、許可取得後の運行管理者・整備管理者選任届出手続きまでに確保できる見込みがあるのならば、許可申請書を提出することができます。
運行管理者については「運送業許可の運行管理者について」でより詳しく解説しています。
整備管理者
運行管理者の確保とあわせて、運送業の許可取得後運輸開始をするためには、常勤する整備管理者の確保が必要です。
整備管理者になるためには、一定の整備士資格を持っているか、2年以上の実務経験+地方運輸局長の開催する整備管理者選任前研修の修了、のいずれかを満たす必要があります。
資格で整備管理者になる場合には、一級~三級の自動車整備士資格のいずれかを持っていなければなりません。
また、実務経験で整備管理者になる場合には、整備工場、特定給油所、自動車運送事業者のもとで、点検、整備、整備の管理に関する2年以上の実務経験を積んだ上で、上記の整備管理者選任前研修を修了しなければなりません。
なお、実務経験は、勤務していた事業者から証明してもらう必要があります。
円満に退職していなかった場合や、その事業者が既に廃業してしまっているようなケースなど、実務経験を証明してもらえないことがありますので注意が必要です。
どうしても実務経験を証明してもらえないときには、自動車整備士資格を取得する必要がありますが、整備士資格を運送業の許可申請のために取得するのは現実的ではありません。
他の候補者を確保するなどといった対策の方が現実的なケースも多いです。
整備管理者は運転者との兼任が可能ですので、運転者の中に、自動車整備士資格を保有されている方がいないか、確認してみてもよいかもしれません。
また、運転者の中で、以前勤務していた一般貨物自動車運送事業者で整備管理の補助者を2年以上していた場合も、実務経験をクリアーしているのであわせてご確認ください。
整備管理者については「運送業許可の整備管理者について」でより詳しく説明しています。
運行管理者は確保が難しい場合は、社内の方が運行管理者試験に頑張って合格するルートが残されております。
一方で整備管理者は整備士資格を新たに取得することは現実的ではない上に、これから2年以上の実務経験を積むことも難しいため、整備管理者の確保は人的要件の中でもハードルが高いと考えられてもよいと思います。
これらの他にも、危険品を運送する場合には消防法などの関係法令に定める取扱資格者の確保も必要となります。
「物」に関する要件
運送業許可取得に関する、物についての要件には以下のようなものがあります。
- 営業所
- 休憩・睡眠施設
- 車庫
- 車両
それでは解説していきます。
営業所
運送業の許可を取る際には、営業所にも以下のような要件が定められています。
- 農地法、都市計画法、建築基準法などに適合している
- 使用権原がある
- 適切な広さがある
- 車庫と離れすぎていない
まず、農地法、都市計画法、建築基準法といった諸法令に適合していなければなりません。
地目が農地であれば、営業所の底地として使用できないため、農地転用の手続きが必要になります。
さらに、都市計画法で言うところの、
- 第一種低層住居専用地域
- 第二種低層住居専用地域
- 第一種中高層住居専用地域
- 一定の条件を満たす第二種中高層住居専用地域
- 一定の条件を満たす第一種住居地域
には原則、運送業の営業所を設置することができません。
また、建築基準法違反の建物を営業所とすることも認められませんので、市街化調整区域にプレハブを建てるようなケースでは、開発許可を受けない限りは営業所として使用できなかったり、基礎工事をした上で建築確認申請をしなければ使えないということもあります。
営業所を適法に使用する権原があることも必要です。自己所有であればもちろん問題ありませんし、営業所として賃借していれば問題ありません。
ただし、賃借の場合には、借主の名義が社長個人になっているような場合や、賃借の契約期間の残りが2年未満のようなケースでは、契約の名義変更や契約の更新が必要になってくることもあるので注意が必要です。
営業所の広さについては明確な面積基準があるわけではありませんが、営業所として使用するためのパソコン、コピー機、事務机、キャビネット、アルコール検知器などが置ける程度の業務が現実的に可能な広さは必要になります。
営業所に必要な備品が備えられているかどうかの確認のため、写真を撮影してそれを運輸局へ提出する必要があります。営業所として適切に使用できる場所を確保して、運輸開始までに整備をしなければなりません。
そして、営業所と車庫は原則として併設されていなければなりませんが、一定の直線距離内であれば離れていても問題無いとされています。参考までに、関東運輸局管内での取扱いは以下の表のとおりです。
営業所の所在地 | 直線距離 |
---|---|
東京都(23区)、神奈川県(川崎市・横浜市) | 20㎞以内 |
東京都(23区を除く)、神奈川県(川崎市・横浜市を除く)、千葉県、埼玉県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県 | 10㎞以内 |
とはいえ、事業許可取得後に適正な運行管理や運行管理者・運転者の営業所・車庫間を移動する負担を減らす上では、営業所と車庫は、なるべく近い方が好ましいでしょう。
これから営業所・車庫として使われる物件を探される場合は、事業許可を取得できることは前提にはなりますが、許可取得後のオペレーションのし易さも加味して、物件選定するのが良いでしょう。
より詳しくは「運送業の営業所の決め方」で解説しています。
休憩・睡眠施設
運送業の許可を取るためには運転者の休憩・睡眠施設も設置する必要があります。
主な要件は営業所と同様ですが、営業所もしくは車庫のいずれかにに併設する必要はあります。
営業所と併設する場合には、営業所と休憩・睡眠施設の間は用途を明確に区別するためにパーテーションなどを使って仕切っておいた方がよいでしょう。
睡眠施設は、運転者が帰宅すると8時間以上の休息時間が確保できないような運行があるときには設置しなければなりません。
休憩施設のみの場合には、テーブル、イス、ソファーなどを設置すれば良いですが、睡眠施設の場合には1人あたり2.5平方メートルの広さを確保する必要があります。
休憩・睡眠施設も、運転者が有効に利用できる施設であることが求められるため、そのために必要な備品が備えられているかどうかの確認のため写真を撮影して、運輸局へ提出いたします。
より詳しくは「運送業の休憩・睡眠施設の選び方」で解説しています。
車庫
運送業の許可を取得するためには当然のことながら車庫が必要になります。
前述のとおり、車庫は原則として営業所に併設しなければなりませんが、営業所の併設できない場合は車庫に併設しなければなりません。
車庫は運送業に使用する車両が全て駐車できるスペースが必要で、駐車した状態で車両の点検ができなければいけないため、車両と車両、車両と車庫の間にそれぞれ50cm以上の隙間を確保しなければなりません。
一般的には1両あたり以下の表の面積以上の車庫が必要とされています。
車種区分 | 1両あたりの必要収容能力 |
---|---|
普通貨物自動車 | 38㎡ |
小型貨物自動車 | 11㎡ |
けん引車(トラクタ・ヘッド) | 27㎡ |
被けん引車(トレーラー・シャーシ) | 36㎡ |
上記の表に記載された必要収容能力はあくまで参考値となっています。
上記の表を基に必要となる車庫面積(収容能力)を計算したところ車庫面積に余裕がない場合は、それぞれの車両の大きさを記載した車両明細表や車両配置図を作成し提出する必要が出てきます。
また、車庫の前面道路の幅員についても要件が定められていて、車両制限令に抵触しないことが必要です。
前面道路の幅員は原則として6.5m以上であれば問題になることはないでしょう。それ未満の場合には、2.5m幅の車両の車庫として使用できない可能性があります。
とはいえ、前面道路が6.5m未満だからといって車庫として使えないというわけではありません。6.5m未満の場合は、個別に調査を行うことで、使用可という判断に至るケースもあります。
車両制限令には抵触しない接道幅員であっても、電柱の位置などの道路の構造によっては、車両が出入りできない車庫もあります。車庫を選定する際は、書類上では判断せずに、現地に足を運んで確認した方がよいでしょう。
農地は、農地転用手続きを行えば車庫として使用することが可能になります。営業所と異なり市街化調整区域でも車庫は設置することは可能です。
つまり、市街化調整区域でも地目が宅地・雑種地・林(保安林を除く)であれば、運送業の車庫として使用可能です。
車庫に関しても、一般貨物の車庫として整備がきちんと行われているかの確認のため、写真を撮影して運輸局へ提出いたします。
他の一般貨物自動車運送事業者などの自動車運送事業者が認可を取得している車庫は、申請予定車庫を他社が認可車庫から外す手続きが事前に必要になります。
とはいえ、上記のように多くの要件を満たさなければならず、車庫探しが難航することも多いので、しっかりと運送業の車庫に使用できるのかの調査を行いながらスケジュールに余裕を持って物件を探すことをオススメします。
より詳しい要件については「運送業の駐車場(車庫)の選び方」で解説しています。
車両
運送業の許可を取得するためには、車検証の用途欄が「貨物」となっており自動車が最低5台必要です。
用途が「貨物」であれば4ナンバーなどの小型車でも問題ありませんが、軽自動車は含まれません。
なお、使用する貨物自動車がトラクタとトレーラの場合には、トラクタ(牽引車)+トレーラ(被牽引車)をセットで1両とカウントします。
また、運送業に使用する車両は、許可申請者が使用権限を持つことが求められます。
ここでいる「使用権原を持つ」とは、車検証上に所有者または使用者の欄に許可申請者が記載されていることを言います。従って、リース車両でも問題無くトラック運送事業に使用することができます。リース車両の場合は所有者がリース会社、使用者が許可申請者になるからです。
新車の場合など、許可申請時には現車がない場合であっても、既に車両が特定されていて、売買契約やリース契約が締結されていれば使用権限があると判断されます。
他の一般貨物自動車運送事業者が使用しているトラックの共同使用は認められません。
一般貨物自動車運送事業で使用する車両の車齢には規制はありません。従って、中古車であっても問題ありませんが、営業所の設置地域によっては、NOxPM適合している車両であることが求められます。NOxPM適合している車両であるかどうかは、車検証の備考欄に記載があります。
なお、車齢が高い場合は、整備費・修理費が高額になったり、修理で車両が使えないということもあります。許可は取得したけど、修理ができずに車検が取ることができずに運行に使用できない…ということが内容に、車両は慎重に検討した方がよいでしょう。
車両については、「運送業の車両の選び方」でより詳しく説明しています。
「お金」に関する要件
運送業許可取得に関する、「お金」についての要件には以下のようなものがあります。
- 自己資金
- 損害賠償能力
それぞれ説明していきます。
自己資金
運送業の許可を取得するためには一定以上の自己資金が必要になります。
「事業の開始に要する資金及び調達方法」のルールに従って算出した額以上の自己資金が必要で、
車両費+建物費+土地費+保険料+各種税+運転資金+登録免許税=必要な自己資金
となります。より詳しくは下記の表のとおりです。
車両費 | 一括購入の場合:取得価格全額
分割購入の場合:頭金+1年分の割賦金 リースの場合:1年分のリース料 |
---|---|
建物費 | 一括購入の場合:取得価格全額
分割購入の場合:頭金+1年分の割賦金 賃貸の場合:敷金等の初期費用+1年分の賃借料 |
土地費 | 一括購入の場合:取得価格全額
分割購入の場合:頭金+1年分の割賦金 賃貸の場合:敷金等の初期費用+1年分の賃借料 |
保険料 | 自賠責保険料、任意保険料の1年
(危険物の運送を行う場合は、危険物に対応する賠償保険料1年分) |
各種税 | 租税公課の1年分 |
運転資金 | 人件費、燃料油脂費、修繕費などの6月分 |
登録免許税 | 許可取得後に関東運輸局へ納付する12万円 |
なお、この自己資金は、申請してから許可が出るまでの期間、常に確保されていなければなりません。
原則は銀行預金で確保しますが、関東運輸局が認めた場合は売掛金も含めることが可能です。
銀行預金は残高証明書で、流動資産である売掛金は「見込み貸借対照表」でそれぞれ証明します。
銀行口座に預けていない会社の金庫に保管している現金は、見込み貸借対照表に記載されている場合であっても、許可申請上の自己資金として認めてもらえることができない場合があります。
現金や、銀行が発行する残高証明に記載された預金残高を審査の対象にしています。
残高証明書は、許可申請会社名義のもので、口座番号の記載があるものを必ず用意します。
許可取得に必要な自己資金の額は、行おうとする運送業の方法や規模などによって様々なので一概には言えません。
とはいえ、人件費だけでも通常は1,500万円近く計上することになりますので、営業所や車庫に使用する物件を所有していなかったり、自己所有の車両がなく、これから賃貸やリースなどで調達する場合の必要資金は3,000万円近くになるでしょう。
営業所・車庫・車両を自社所有の場合はこの金額より安価になりますが、運送業を開業する際には、自己資金をどの程度準備できるかどうかをまず検討してみることをオススメします。
なお自己資金の中には、銀行などからの借入金を含むことができます。
銀行から融資を受ける場合は、融資実行が許可申請書提出前に可能かどうかがポイントになります。
融資実行が許可取得後であったり、許可申請書が運輸局に受付になってからでないと融資を実行しないという金融機関もあります。
この場合はその融資金額は自己資金の額としてカウントできませんので、融資資金がどのタイミングで自社の銀行口座に入金されるかが非常に重要になります。
より詳しくは「運送業許可取得に必要な自己資金」で解説しています。
損害賠償能力
運送業の許可を取得するためには、補償内容が最低でも対人賠償額が「無制限」・対物賠償額「200万円以上」の任意保険に加入しなければなりません。
とはいえ、対人賠償額「無制限」・対物賠償額「200万円以上」は許可を取得するための最低の保障内容ですので、実際は、対人賠償・対物賠償ともに「無制限」の保障内容にされることが多いです。
また、タンクローリーなどの危険物の輸送に使用する車両の場合は、さらに危険物輸送に対応する適切な保険に加入する計画がなければなりません。
資金計画を作成するために、任意保険の年間保険料が必要になります。ですので、車両が決まりましたら、保険会社から保険料の見積書を取り寄せてください。
保険会社に保険料の見積もりを依頼される際は、前述の補償内容を満たしていること、自家用ではなく事業用(緑ナンバー)であることを、必ずお伝えください。
まとめ
さて、ざっくりではありますが、トラック運送業(一般貨物自動車運送事業)の許可要件について解説してきました。いかがでしょうか。
多くの要件があり、許可は簡単には取れないということがおわかりいただけたと思います。
様々な運送事業者様の開業をお手伝いしてきた中で最もハードルになりやすいのは、何と言っても自己資金です。
他に問題になりやすいのが、順に車庫、営業所、車両といったところでしょうか。
特に首都圏では、多くの事業者さんが車庫探しに苦労されております。
従って、車庫を見つけてから、その車庫から直線距離で定められた範囲内にある営業所として使用可能な建物を探されるのが、効率的な物件探しです。
また、自己資金については、ある程度まとまった資金が必要になります。
起業される方は日本政策金融公庫の創業融資制度の利用を検討されますが、日本政策金融公庫は原則として許可取得後でないと融資が実行されませんので、許可申請の際の自己資金としては活用するのが難しいと考えます。
運送業の許可を取得する際には、申請前の準備だけでも半年や1年かかることも珍しくありません。
開業を検討する際には、許可基準を正確に把握した上で、しっかりと準備を進めないと、数年経っても許可が取れないということにもなりかねません。
行政書士法人シグマでは、多大な労力と時間を必要とする、一般貨物自動車運送事業許可基準のコンサルティングや許可申請手続きの代行を承っております。
許可基準の調査・調整から申請書類の作成、提出を始めとして、営業開始後にも様々な面から運送会社の経営をお手伝いしています。
車両の任意保険に関しては、保険会社のご紹介もしております。
運送業の開業でお困りのことがありましたら、シグマへご相談ください。
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