シグマ起業トーク vol.3 : 株式会社読売ロジスティクス様
行政書士法人シグマでトラック運送業(一般貨物自動車運送事業)許可のお手伝いをさせていただいたお客様をご紹介するシグマ起業トークの第3回は、東京都江東区で一般貨物自動車運送事業の経営許可を取得された株式会社読売ロジスティクス様をご紹介します。
今回は、株式会社読売ロジスティクス代表取締役社長の津田様に、シグマ代表の阪本がお話を伺いました。
(取材:令和2年12月11日、撮影:同年11月27日、12月11日)
Contents
株式会社読売ロジスティクス様のご紹介
株式会社読売ロジスティクス様は、読売新聞東京本社様の完全子会社として、人手不足が叫ばれる物流業界の中で、読売新聞本紙やチラシなどを運んでいる既存の輸送会社と連携して荷物を引き受けることで、物流の効率化や環境負荷の低減に貢献し、併せて読売新聞社様の輸送網を維持・強化することを目指されています。
新聞の輸送網が持つ可能性
早速お話を伺っていきたいのですが、今回運輸業に参入するにあたっては、どのような意図があったのでしょうか。
まず、普段から読売新聞本紙などを輸送してもらっている輸送網というのは凄いものだと思い至ったというのがあります。
新聞というのは、分単位で工場から販売店に届けたりしていて、非常にきめ細かい輸送網があり、輸送品質は相当高いものだと言えます。
これを活用することができれば、物流の効率化や環境負荷の軽減といった形で世の中のお役に立てるのではないかと考え、運輸業に参入することになりました。
日々の改善の積み重ねで作り上げられた新聞の輸送網を活用したいという思いがあったのですね。
そうですね。
これまで何十年にもわたって読売新聞を輸送している中で、最適な配送コースの構築や、締切のタイミングや道路状況といった時々刻々と変化する状況に対応していく中で磨き上げられた輸送網を活用したかったというのはあります。
そういった輸送網を活用して、混載便とラウンド便で配送していくと伺って、新聞の輸送で混載というのは意外だったのですが、そこはどのようなお考えで踏み込んだのでしょうか。
おっしゃるとおり、ひと昔前は、それが食品だろうがなんだろうが新聞と一緒に運ぶのはご法度だって言われていた時代がありました。
それはさきほど申し上げた新聞配達の特性である定時配送と大きく関係していて、「他の荷物を運んだことで1分でも2分でも販売店への到着が遅れたらどうするんだ」という考え方だったんですね。
ただ、新聞の発行部数が減ってきて、やはり読売も輸送会社さんも、他に色々収入を考えていかなきゃいけないとなった時に、「これ実は大きな武器だよね」と。
ずっと毎日同じところを正確に同じ時間に走っているわけなので、そこに一緒に物を載せることができれば皆が win-win の形が作れるということに気づいたんです。
もちろんそうは言っても、例えば新聞が濡れたり匂いがうつったりしてしまうと、読者様にご迷惑をかけることになってしまうので、水分が出るものや匂いが強いものは依然としてタブーではあるんですが、そうでないものについて混載便として運行しようと。
夕刊向きの混載便、朝刊向きのラウンド便
混載便とラウンド便はどう使い分けをしているのですか?
一般的に言うと、混載便というのは新聞の量があまり多いと混載する余地がほとんどないので、そういう意味では朝刊よりも部数が少ない夕刊の便に向いているんですね。
一方で、朝刊は部数も多くてトラックの台数も多く出るので、それがただ空っぽで戻ってくるともったいないということで、ラウンド便を活用しやすいというのがあります。
ただ、逆がまったく出来ないというわけではないので、そこは荷主さんの状況と荷物の内容などを考えて、ご相談の上で決めるということになります。
お客様の要望に合わせてということですね。
ところで今回の御社の運輸業参入については、物流系メディア各所で目にすることも多かったのですが、話題になっているという実感はありますか?
我々は新参者なので、普段物流系のメディアさんがどんな動きをして、どんな記事を出されてるかもあまり把握していないのですが、取材のお申し込みをいただいたりもしましたので、多少なりとも認識していただいているのはありがたいなと感じています。
いま運送業界は依然として人手不足で、今回の御社の取り組みのような混載便やラウンド便という形は今後トレンドになっていきそうですね。
混載自体は私たちが発明したわけでもなくて、実際には他の新聞社さんで、我々よりもはるかに先んじて取り組んでおられる社もあるので、そこに遅ればせながら本腰を入れて取り組むようにしたということで会社を作ったというところです。
御社の参入で、また大きな流れが出来ていきそうですね。
実はさきほど実物も見てきたんですが、トラックのロゴマーク(注釈:読売新聞日曜版に連載中の漫画「猫ピッチャー」のミー太郎とユキちゃんがデザインされている)が特徴的で、近くを通りかかったお子さんたちも「かわいい」と言っていましたね。
この仕事をやると決まってから、街で走っているトラックが随分気になるようになって、そうやって見ていると、トラックの後ろのデザインというのが、それぞれの会社の個性を表す材料なのかなと思ったんですね。
私たちは読売の看板を背負っているわけですから、安全で事故のない運行をしたいと考えています。
同時に、読売新聞と同様に親しんでもらえるようにと考えたときに、「ミーちゃんがいいな」と思い、作者のそにしけんじさんにお願いしたら快くお引き受けいただいて、書き下ろしてもらったので、そこは良かったなと感じています。
孤独な中での会社設立
現在、社長は以前とまったく違った仕事をされていると思いますが、いかがですか?
自社トラックの日常の動きは運行管理者の皆さんにお任せしていて、荷物をどうやって探すかということがやはり社長の大きな役割になってきます。
新聞記者であった時代もそうですし、記者を離れたあとの事務職としての仕事の中でも、今まで経験のない営業的な活動ですので、そこは頑張らないといけないなと思ってやっています。
現在も経験のない活動での苦労があると思いますが、ここからは事業をはじめる過程での苦労などのお話を伺いたいと思います。
弁護士さんからのご紹介で社長とはじめてお会いしたのが2020年のゴールデンウイーク前で、そこから事業の詳細を伺って必要な許認可を整理しました。
その結果、「一般貨物運送事業の許可を受けて、いわゆるそのぶら下がり許可の貨物自動車利用運送の許認可が必要ですね」ということになって、手続きのお手伝いをさせていただいたのですが、その中でどのような部分で負担を感じられましたか?
今回は会社を作るところから始まっているので、阪本先生にお願いする手前で会社を作る作業があったのです。
その時点ではまだ社内ではあまり公になっていなかったので、今の取締役の2人もまだ異動してない時期で、会社を作る部分は1人でやらなければいけないのが大変でしたね。
もちろん社内の法務部門など色々なところに助けてはいただいたのですが、その頃はけっこう孤独でした。
6月あたりから今の取締役も出向してきてくれたりして、そこからは色々相談しながら進めて行けたので、その頃には孤独感はなくなりましたけどね。
車の選定も大変でしたよね。メーカー選びからでした。
そうですね。
まったく初めての経験ですから、それこそどのメーカーがいいんだろうとか全くわからない中で、申請前に決めないといけないということで、6月20日を過ぎてなんとか決着して、そこからすぐに申請していただいたんでしたね。
申請したのは6月26日でした。
その次の社長の山場が役員法令試験だったと思います。
試験対策のマンツーマンレッスンをさせていただいたのですが、社長はものすごく理解力があってパパっと終わったような印象が残っています。
その前の全く知識のない時期に、自分でネットで見つけた問題を10問だけ解いたのですが、2問しか間違えなかったので楽勝かなと思っていたんです。
でも阪本さんのレッスンのときに初めて実際の形式で問題を解いてみて、6問までしか間違えられないところを7問間違えてしまって、あのときは「案外これは大変かもな」と思いましたね。
やはり試験に落ちられないというプレッシャーもありますよね。
ありますね。
「不合格2回で申請取り下げですよ」って言われたら、それは嫌だと思うし、年内の事業開始を目指してぎりぎりのスケジュール感でやってたので、これで「試験に落ちたから2ヶ月遅れます」なんてことになるとシャレにならないなとは思っていました。
役員法令試験は条文集を見るタイミングが重要
そこから試験の準備をしていただいて、試験終わってお電話もらって「大丈夫そう」と聞いて安心したのを覚えています。
やはり、試験勉強はしっかりされましたか?
しましたね。
その結果として一番大事なのは時間配分と条文集をいつ見るかの判断なのかなと思いました。
30問全部条文集を見ていたら時間がないし、かといって一切見ないまま1周すると、今度2周目で見るときに気持ちが焦る。
結局自分でやって見つけ出したのは、間違いないと自分で思えるものとバツのものはわかるので、残りの悩んだものだけ1周目から条文集を見るという方法です。
そうやると大体5分~10分の時間を残して解き終わって気持ちがそれほど焦らないので、そのやり方を見つけてからは、毎回自分でやってみても2問間違いぐらいでおさまっていたので、行けるかなっていう感じにはなりました。
そこから審査も順調に進んで 11月12日付けで許可が下りて、その後も社会保険の事務手続きで役所に足を運んでいただいたりとお忙しかったのではないでしょうか。
夏に自分の試験が終わってからこの秋までの間で一番大変だったのは、ドライバーさんに来ていただくということでしたね。
何回か募集をかけて、結果的に今のメンバーはすごく良い方に来ていただいたなと思っています。
手続き外のことも相談できてよかった
コロナ禍で有効求人倍率が東京都で1倍を切ったとは言っても、ドライバーさんは今でも集めるのが大変だと国交省の方もおっしゃっていたので、そのなかで優秀なドライバーさんを採用できたのは素晴らしいですね。
その後も様々な手続きをされてこの11月28日から運輸開始となりました。
最後になりますが、シグマをご利用いただいての感想などあればお聞かせください。
今回は会社設立の登記申請は司法書士さんにお願いしましたし、事業の許可のところは行政書士さんにお願いしましたが、やはりここは専門家にお願いしないとしょうがないと思いますね。
恐ろしいほどの時間と労力をかければ自力でもできなくはないと思いますが、同時並行でドライバーさんの募集など色々なことをやらなければいけない中で、やはりその根幹の部分を専門家の方にお任せすることができたのは、当初の想定通りのタイムスケジュールでスムーズに進めた大きな要因だと思います。
手続き外のところで色々と悩ましいことを相談できたのも大変ありがたかったと思っております。
そう言っていただけると私たちとしても嬉しいです。
今日は長い間お話を聞かせていただいてありがとうございました。
ありがとうございました。
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