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運送業の駐車場(車庫)の選び方

トラック運送業の許可を取りたいので、会社の近所にある月極駐車場を借りようと思っているんですが、大丈夫でしょうか。

ちょっと待ってください。

トラック運送業の車庫にも色々な条件がありますので、ちゃんと許可が取れる車庫かどうかしっかりチェックしてから契約した方がいいです。

その辺の月極駐車場じゃダメなんですか?

もちろん問題の無い駐車場もありますが、一般的な月極駐車場は条件を満たさないことが多いです。

それではどのような駐車場を借りればいいのか、運送業許可を取得するための条件を確認してみましょう。

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トラック運送業(一般貨物自動車運送事業)の許可を取得するときには、駐車場(車庫)が無ければいけません。

駐車場はどのような場所でも車が停められれば問題無いというわけではなく、一定の要件を満たした場所でなければいけません。

この記事ではそんなトラック運送業の駐車場の選び方について詳しく解説していきます。

※規制のルールは特に言及の無い限り関東運輸局管内を前提に説明しています。

駐車場と営業所の距離

駐車場は、原則として営業所に併設しなければいけませんが、絶対に併設されていなければいけないというわけではなく、一定の距離以内であれば問題無く許可が取得できます。

距離の目安は、関東運輸局管内では以下の表のとおりです。

営業所の所在地 直線距離
東京都(23区)、神奈川県(川崎市・横浜市) 20㎞以内
東京都(23区を除く)、神奈川県(川崎市・横浜市を除く)、千葉県、埼玉県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県 10㎞以内

ただし、許可がとれるかどうかという問題とは別に、実際に業務を行うにあたって、営業所と駐車場の距離が問題となる可能性はありますので、そのような観点からも注意が必要です。

駐車場の広さ

駐車場に必要な広さは、車両によっても変わってくるため一概には言えませんが、車両同士の距離、車両と駐車場の境界や壁との距離は、それぞれ50cm以上でないといけませんので、単純に考えても車両の寸法に加えて縦も横も1mの空間が必要になります。

一般的な月極駐車場ですと、この空間を確保できないことも多いので1台分のスペースでは足りず、2台分のスペースを借りる必要があったりします。

車庫計測中

トラック運送業の許可を取得するためには最低でも5台の車両の駐車スペースが必要になりますし、効率的に車両を停めることを考えるのであれば、ある程度広い駐車場を借りることをオススメしています。

ひとつの駐車場で必要な分の駐車場が確保できない場合には、2つ以上の駐車場に分けて停めても問題ありません。

目安としては、1台あたり下の表の広さが必要と言われています。

車種区分 1両あたりの必要収容能力(参考値)
普通貨物自動車 38㎡
小型貨物自動車 11㎡
牽引車(トラクタ・ヘッド) 27㎡
被牽引車(トレーラー・シャーシ) 36㎡

駐車場の面積がギリギリで余裕がないときは、実際にどのように車両を配置して駐車するのかがわかる車両配置図やそれぞれの車両の大きさを記載した車両明細書を作成して提出する必要があります。

駐車場の前面の道路

駐車場の接している道路も、どのような道路でも良いというわけではなく、一定の要件を満たしている必要があります。

一定の要件というのは車両制限令という法令に適合しているということです。

車両制限令と言われてもよくわからないと思いますので、わかりやすく説明します。

駐車場の前面道路というのは、要は出入口が面している道路のことで、これが余りにも狭かったりすると、トラックが出入りするときに何度も切り返さないといけなかったりして、交通の安全が確保できないので、道路の幅と出入りする車の大きさに一定の制限が定められています。

具体的には、国道であるか幅員が6.5m以上であれば基本的に大丈夫です。

それ未満の場合には、普通貨物車の上限である2.5m幅の車両の駐車場として使用できない可能性がありますので、使用する車両なども含めて確認や調査が必要になってきます。

道路の幅員の確認は、自分でメジャーで測ればいいというものではなく、原則、道路管理者は発行する道路幅員証明書を取得して行います。道路幅員証明書に記載された幅員が何メートルなのかが重要になってきます。

なお、国道の場合には幅員証明書は不要です。

また、出入口の前面道路が私道の場合の幅員は私道の幅員ではなく、私道から最初に出る公道の幅員が審査の対象になります。

そして車庫の前面道路が私道の場合は、公道に出るまでに通る私道の所有者より、『一般貨物自動車運送事業に使用する車両が私道を通行してもよい』という承諾が必要になります。そしてこの承諾は書面化する必要があります。

なお、関東運輸局の管轄エリア外では、上記以外にも交差点、バス停、幼稚園等からの距離の規制があったりするので、事前に確認する必要があります。

駐車場の賃貸借の注意点

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駐車場を賃借して使用されるトラック運送業者様が多いですが、許可を取る際には、いくつか注意する点があります。

まず、賃貸借契約の期間ですが、許可が出る日から2年以上は必要です。

許可が出てすぐに契約が終了してしまうようだと、使用権限があるとは言えませんので、2年以上は残っていないとダメというのが原則ですが、契約の内容として自動更新されるようになっていれば、残りの契約期間が2年未満であっても問題ありません。

また、契約上の使用目的が「駐車場」や「車庫」などになっている必要がありますので、例えば使用目的が「倉庫」などになっている場合には運送業の駐車場としては認められません。

その他にも、必要な面積が確保されているかどうかを確認するためにも、駐車場として借りている部分の面積が明記されているかどうかについても確認しましょう。

そして、比較的よくあることですが、賃貸契約書に記載されている駐車場の住所と、幅員証明書に記載されている住所の表記が違うことがあります。

これは賃貸契約書では住居表示で記載され、幅員証明書では地番表示で記載されているというケースで起こることですが、両方ともが同じ場所を示しているのであれば、宣誓書を提出すれば問題ありません。

市街化調整区域内の駐車場の注意点

駐車場は市街化調整区域内にあっても問題ありません。

ただし、屋根付きの有蓋駐車場である場合や、有蓋の整備場を設けるような場合には、都市計画法、建築基準法、消防法などの問題が生じるため、建築物として適法なものとしなければならず、費用がかさむことがあります。

また、駐車場は農地には置けませんので、農地の場合には農地転用の手続きが必要です。

他の運送会社の車庫を間借りする際の注意点

よく他の運送会社さんが使っていない車庫の一部を借り受けて自社の車庫として許可取得を検討される事業者さんがいらっしゃいます。いわゆる車庫を間借りする場合です。

この場合、他の運送会社が一般貨物自動車運送事業の車庫として運輸局から認可を取得している同一区画では、許可を取得することはできません。。

他の運送会社が認可車庫を借り受けたい場合は、他の運送会社で認可車庫から外す手続きを先に行っていただく必要があります。

運送会社が過去に使用していた車庫を使用する際の注意点

別の運送会社さんが使っていた車庫をその運送会社さんが移転後に使用する場合も注意が必要です。

前使用者が運送会社でありその土地に事業用ナンバーのトラックを駐車していたからといっても、その車庫が一般貨物自動車運送事業の車庫要件を確実に満たしているということは断言できません。

その理由の一つは、運送会社は使用していた事実はあるが運輸局へ申請していなかった、いわゆる無認可車庫だったという可能性があります。

また、認可車庫であっても現在の車庫要件を満たしていないことも考えられますので、前使用者が運送会社だからといって、確実に使用できるとは言い切れないのです。

前使用者が現在は別の車庫に移転しており車庫変更の認可申請を行っていない場合は、前使用者が車庫移転の変更認可を取得後にしか使用することはできません。

物件探しは時間の余裕を持って

このように、トラック運送業(一般貨物自動車運送事業)の駐車場(車庫)には、様々な細かい要件が定められていますので、駐車場探しに数ヶ月の期間がかかってしまうことも珍しくありません。

したがって許可を取得する際のスケジュールを考えるときには、駐車場や営業所の物件探しの時間に余裕を持って設定することをオススメします

行政書士法人シグマにトラック運送業許可の手続きサポートをご依頼いただいた場合には、候補物件の要件調査も行っておりますので、「契約した後になって許可が取れないと判明した」といった事態を避けることができます。

トラック運送業の許可でお困りの方は是非一度ご相談ください。

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