【相談事例】前面道路8メートルの車庫を車幅2.5メートルの大型トラックを駐車する認可車庫にしたい
質問
運送業(一般貨物自動車運送事業)の認可車庫として使える貸地を探しています。
条件に合いそうな土地が見つかったのですが、不動産会社が作成した募集図面上では、前面道路は「8メートル市道」と記載されています。前面道路の幅が8メートルであれば2.5メートル幅の大型トラックの駐車場として使用可能でしょうか?
回答
募集図面に記載されている幅員が、何をもとにした数字なのかがポイントです。
道路管理者が発行している幅員証明書に記載されている有効車道幅員という確証があれば、そこから計算して通行可能な車両の最大幅を割り出せば問題ないのですが、そうでない場合は、道路管理者への確認が必要になりますので、幅員証明書を取得するのが確実です。
運送業車庫の道路幅員についてのポイント
運送業で使用する車庫を探される際は、
- 立地や広さ
- コスト
- 敷地内での車両の停めやすさ
- 路面がアスファルトなのか砂利敷きなのか
- セキュリティの有無
といった条件を気にする運送業者様が多く、車庫前面道路の幅員については、「車両の出入りに支障がない幅があれば大丈夫」と考え、そこまで気にされていない運送業者様が多いのではないでしょうか。
しかしながら、「前面道路の幅員が不足しているため、駐車予定だった車幅の車を駐車できない」というのはよくあることです。
まずは幅員証明書を取得する
前面道路が国道の場合は幅員の心配は不要ですが、県道・都道・区道・市道の場合は、前面道路が、車両制限令に抵触していないことが運送業に使用する車庫としての条件になっています。
車両制限令に抵触していないことは、道路管理者が発行した幅員証明書に記載されている車道の幅員が何メートルになっているかで判断します。
県道・都道・区道・市道の道路管理者は、その道路に応じて、都道府県知事または市町村長のいずれかになります。
現在、道路管理者によっては幅員証明書の発行事務を廃止していることがありますが、幅員証明書が発行されない場合は、幅員証明書に代わる道路台帳の写しなどを使用して車庫前面道路の幅員を証明します。
幅員証明書の車道幅員と道路の区分を確認
道路管理者から幅員証明書を取得したら、車道幅員と道路の区分を確認します。
道路区分とは、前面道路が車両制限令のどの条項に該当するかです。
市街地を形成している区域内の道路の場合は第5条、そうでない場合は第6条のどの条項に該当するかで、駐車可能な車両の最大車幅が決まります。
道路区分は、「この道路は車両制限令第5条2項の道路に該当する」「この道路は車両制限令第6条2項に該当する」といった内容で幅員証明書に記載されます。道路区分が車両制限令に記載されていない場合は、自治体の職員に尋ねれば教えていただけます。
以前私たちが関与したケースで、不動産会社が作成した募集図面上に公道8メートルと記載されていた前面道路の幅員証明書には、以下のように記載されていました。
- 道路認定幅員 8メートル
- 有効車道幅員 5.25メートル
- 道路区分:車両制限令第5条2項に該当
運送業の前面道路の幅員は、有効車道幅員が車両制限令に抵触していないかが、審査の対象になります。したがって、この前面道路の幅員は、5.25メートルとなります。
ここから、道路区分が車両制限令第5条2項となっている道路が通行できる車両の最大幅は、
(5.25メートル-0.5)÷2 = 2.375メートル
となります。
なお、この計算式は、車両制限令第5条2項に記載されています。
(幅の制限)
第五条
1項 省略
2項 市街地区域内の道路で前項に規定するもの以外のものを通行する車両の幅は、当該道路の車道の幅員から〇・五メートルを減じたものの二分の一をこえないものでなければならない。
3項 省略
したがって前面道路を通行可能な車両の最大幅は2.375メートルとなるため、車幅が2.5メートルある10トントラックやトラクターヘッドをこの車庫に駐車することは、車両制限令違反となってしまうことになりますので、そのような車両の車庫としては使用できません。
まとめ
運送業に使用する車庫を探す際は、候補物件の前面道路が国道以外の場合、道路管理者が発行する幅員証明書を確認し、駐車予定の車両の最大車幅が車両制限令に抵触しないかを必ず確認しましょう。
不動産会社の募集図面だけから「大丈夫だろう」と判断して借りてしまうと、借りたあとになって、「停めたかった車両が停められない」、「運送業の車庫として使用できない」ということが判明するというリスクがあります。
繰り返しになりますが、車庫契約前に、「運送業の車庫として使用できるか」、「どの大きさの車両が停められるか」を確認しましょう。
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