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認可車庫の一部を使いたい…「減坪」手続きとは? 面積不足で増車不可の罠に注意!

今回も、運送業の許認可申請を専門とする行政書士の阪本浩毅さんにお話を伺います。運送業(一般貨物自動車運送事業)を運営する中で、認可を受けた車庫スペースの一部を、トラックの駐車以外の目的、例えば資材置き場や事務所、あるいは他の事業用車両の駐車場として使いたい、と考えることがあるかもしれません。しかし、これには注意が必要で、「減坪(げんつぼ)」と呼ばれる手続きが必要になるそうです。今回は、この認可車庫の減坪手続きについて、詳しく解説していただきます。

認可された車庫の一部、別の用途に使っても良い?

── 阪本さん、本日もよろしくお願いいたします。早速ですが、運輸局から認可を受けている運送業の車庫スペースの一部に、例えば、資材を置いたり、事務所や倉庫を建てたりすることは可能なのでしょうか?

阪本: よろしくお願いします。まず大前提として、運輸局から運送業用として認可を受けた車庫(認可車庫)は、原則として、その許可を受けた事業用自動車(緑ナンバーのトラック)を駐車するためのスペースです。ですから、その認可されたスペースの一部であっても、恒常的にトラックが駐車できない状態、例えば、建物を建てたり、資材置き場として使用したり、あるいは他の運送会社に貸したり、軽貨物車両や白ナンバーの社用車専用の駐車場として使用したりすることは、そのままでは認められません。

── では、どうしても他の用途で使いたい場合は、どうすれば良いのですか?

阪本: その場合は、他の用途で使う部分について、「ここはもう運送業のトラック用車庫としては使いません」ということを運輸局に正式に届け出て、認可されている車庫の面積を減らす手続きが必要になります。これを「減坪(げんつぼ)の認可申請」と呼んでいます。

── なぜ、面積を「減らす」のに「認可申請」が必要なのですか?

阪本: 運輸局は、許可を出した運送会社が、事業に必要な車庫スペースを、認可した場所・面積で、適切に確保・維持しているかを管理しています。認可された面積の一部が、実質的にトラック用として使えなくなるということは、事業計画の変更にあたります。そのため、その変更が運送業の許可基準(特に、残りの面積で車両が収容できるか)に影響しないかを確認し、問題なければ認可する、という手続きが必要になるのです。勝手に用途変更することを防ぎ、許可の適正な維持を図るためですね。

手続きしないとどうなる? 巡回指導での指摘や他社への影響

── もし、減坪の申請をせずに、認可車庫の一部を資材置き場などに使っていたら、どうなりますか?

阪本: トラック協会の巡回指導や運輸局の監査が入った際に、ほぼ間違いなく指摘を受けます。「認可された車庫面積と、実際に使用可能な面積が一致していません。速やかに減坪の変更認可申請を行ってください」といった指導が入るでしょう。また、例えばA社が認可を受けている車庫スペースの一部を、B社が新たに車庫として認可を受けることはできません。もしB社がそのスペースを使いたいのであれば、まずA社がその部分について減坪の認可を受ける必要があります。認可車庫のスペースは、重複して認可されることはありません。

「減坪認可申請」の手続きと必要書類

── なるほど、きちんと手続きが必要なのですね。減坪の認可申請は、どのような書類を提出するのでしょうか? 車庫を増やす時と同じくらい大変ですか?

阪本: いえ、提出書類に関しては、車庫を新設したり、面積を増やしたり(増坪)する場合と比べると、かなりシンプルになります。例えば、土地の権利を証明する登記簿謄本や賃貸借契約書、前面道路の幅員証明書、都市計画法などの法令遵守に関する宣誓書などは、通常、減坪申請では不要です。営業所に併設されていない車庫の場合でも、運行管理体制を示す書類(様式1-1)も基本的には不要です。

── では、主に何が必要になるのですか?

阪本: 主な提出書類は以下の通りです。

  • 申請書の表紙(鑑)
  • 変更内容を記載する様式(別紙1-1)
  • 車両の配置や必要面積に関する様式(別紙3)
  • 「減坪する前」の現在の車庫全体の平面図と求積図
  • 「減坪した後」の、実際に使用する車庫部分の平面図と求積図
  • 車庫の状況がわかる写真

これらに加えて、行政書士に依頼する場合は委任状や、減坪後の車庫面積が収容能力ギリギリの場合は、車両の配置図も必要になります。

最重要注意点! 減坪後の面積で全車両を収容できますか?

── 書類がシンプルになるのは助かりますが、申請にあたって、特に注意すべき点はありますか?

阪本: はい、ここが減坪申請における最も重要な注意点です。それは、「減坪した後の残りの車庫面積で、現在その営業所に配置されている全ての事業用自動車(トラック)を、適切に駐車できるかどうか」という点です。

── 残りの面積が足りないと、認可されないのですか?

阪本: その通りです。運輸支局は、減坪後の面積で、現在の配置車両全てが、車両の前後左右に50cm以上の間隔を確保して収容できることを、提出された図面等で厳密に確認します。もし1台でも収容できない場合は、その減坪認可申請は認められません。ですから、申請前に、減坪後のスペースで本当に全車両が収まるのか、正確な車両寸法と50cm間隔ルールに基づいて、必ず図面上でシミュレーションしておく必要があります。

── 将来的にトラックを増やしたい(増車)と考えている場合は、どうでしょう?

阪本: それも非常に重要な視点です。現在の車両がギリギリ収まる面積まで減坪してしまうと、将来、増車しようとした時に「認可車庫面積が不足しているため、増車手続きができません」という事態に陥ってしまいます。新しいトラックを発注して納車されたのに、車庫面積不足で緑ナンバーが付けられず、ディーラーの車両置き場に長期間放置…なんていう悲劇も起こりかねません。減坪を検討する際は、現在の車両だけでなく、将来的な増車計画も見据えて、必要な面積を確保しておく、という視点が不可欠です。

計画的な減坪を:将来の増車も見据えた判断を

── 減坪は、目先のスペース確保だけでなく、将来計画への影響も考えて慎重に行う必要があるのですね。

阪本: まさにその通りです。減坪申請自体は、書類も比較的シンプルで、手続きも増坪などに比べれば難易度は高くありません。しかし、その判断を誤ると、将来の事業展開に大きな支障をきたす可能性があります。

── 最後に、減坪を考えている事業者の方へアドバイスをお願いします。

阪本: 認可車庫の一部を他の用途に使いたい、というニーズは理解できます。しかし、その前に、必ず「減坪後の残りの面積で、現在および将来計画している車両が、50cm間隔ルールを守って、確実に収容できるか」を徹底的に確認してください。安易に減坪して後で後悔することのないよう、慎重な判断が求められます。場合によっては、減坪するのではなく、他の場所に資材置き場や事務所を確保するなど、別の解決策を検討した方が良いケースもあります。もし、ご自身での判断や手続きに不安がある場合は、ぜひ専門家にご相談ください。現状の確認から、将来計画を踏まえたアドバイス、そして実際の申請手続きまで、サポートさせていただきます。

── よく分かりました。安易な減坪は危険、ということですね。本日もありがとうございました。

阪本: こちらこそ、ありがとうございました。

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