運送業許可の運行管理者について
運送業許可を取るには運行管理者が必要だと聞きました。
私は、前にいた会社で2年ほど運行管理補助者をやっていたので、私が運行管理者になって許可が取れますか?
そのままでは運行管理者に選任されることができませんので、早く許可を取得したいのであれば運行管理者試験に合格する必要があります。
そうだったんですか。
許可を取るためには、試験がついて回りますね。
そうなんです。
一定の実務経験で運行管理者の資格を取ることもできますが、その他にも運行管理者については色々なルールがありますので、詳しく確認してみましょう。
トラック運送業(一般貨物自動車運送事業)の許可を取得するためには、運行全体の管理を行う運行管理者の選任が必要になります。
運行管理者には、指定すれば誰でもなれるというわけではなく、国家資格ですので一定の要件を満たした人しかなることができません。
この記事では、運送業許可取得のために重要な運行管理者について解説します。
法令試験については、「運送業許可のための法令試験」で解説しています。
※規制のルールは特に言及の無い限り関東運輸局管内を前提に説明しています。
Contents
運行管理者になるためには?
運送業の運行管理者は、運転者の指導監督や乗務割の作成の他、休憩・睡眠施設の保守管理、点呼を通じた運転者の疲労・健康状態等の把握や安全運行の指示といった、運行の安全確保のための業務を行います。
運送業の運行管理者になる方法は以下の2つです。
- 運行管理者試験に合格する(こちらのケースの方が多いです。)
- 事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務について一定の実務経験その他の要件を備える
それぞれ詳しく見ていきましょう。
運行管理者試験
受験資格と受験方法
運行管理者試験は、公益財団法人運行管理者試験センターが年2回(8月と3月)実施しています。
試験は誰でも受けられるというわけではなく、以下どちらかの要件を満たさなければ受験できません。
- 事業用自動車(緑ナンバー、事業種別は不問、貨物軽自動車運送事業を除く)の運行管理に関して1年以上の実務経験がある
- 実務経験に代わる講習を修了する(試験前日までに修了予定を含む)
試験は、貨物と旅客の2種類がありますので、運送業の運行管理者の場合には、間違えず貨物の試験を受けましょう。
実務経験に代わる講習
実務経験に代わる講習は、国土交通大臣が認定した講習実施機関である、独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA) などで受講(講習手数料8,900円)することができます。
その他の認定講習実施機関は、講習認定機関一覧をご参照ください。
講習の申込みは、インターネット上で行えますが、すぐに満員になってしまいますので早めの予約をオススメします。
講習は3日連続で行われ、欠席や遅刻などをしてしまうと修了となりませんので、なかなか大変です。
出題範囲と合格基準
運行管理者試験(貨物)は全30問、試験時間90分で、出題範囲は以下のとおりです。
カッコ内は出題数です。
- 貨物自動車運送事業法関係(8)
- 道路運送車両法関係(4)
- 道路交通法関係(5)
- 労働基準法関係(6)
- その他運行管理者の業務に関し、必要な実務上の知識及び能力(7)
30問のうちで18問以上正解すれば合格です。
試験対策は、役員の法令試験と異なり、過去問なども公開されていますし、情報が手に入れやすいので比較的やりやすいです。
シグマも参画している一般社団法人運輸安全総研トラバスのブログでも運行管理者試験対策について紹介していますので、ご参照ください。
5年の実務経験
シグマでお手伝いしている中では、上で紹介したように運行管理者試験を受けて運行管理者資格者となる人の方が多い印象ですが、もうひとつ運行管理者になるための方法があります。
それは「事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務について一定の実務の経験その他の要件を備える」ことで運行管理者になる方法です。
より具体的には、国交省のウェブサイトに以下のような記載がありますが、後からわかりやすく解説しますので、読み飛ばしても構いません。
取得しようとする運行管理者資格者証の種類(一般乗合旅客、一般乗用旅客、特定旅客、貨物)ごとに、それぞれに応じた種別の自動車運送事業(貨物軽自動車運送事業を除きます。)の事業用自動車の運行の管理に関し5年以上の実務の経験を有し、その間に運行の管理に関する講習を5回以上受講していること等の要件があります。
運行の管理に関する講習として、自動車事故対策機構が行う基礎講習及び一般講習が認定されており、5回以上の講習のうち、少なくとも1回は基礎講習を受講している必要があります。
これをわかりやすく分解して、少し補足してみます。
- 運送業許可を持っている事業者で、事業用自動車の運行管理の実務経験を5年以上
- 5年の間に5回以上、自動車事故対策機構が行う運行管理に関する基礎講習と一般講習を受ける
- 少なくとも基礎講習を1回は受ける
- 1年1回までしか講習の受講回数はカウントされない
これら4つの要件を満たせば、運行管理者試験に合格せずに運行管理者になることができます。
運行管理者は1名いればよいのか
運行管理者は、必ずしも1名だけいればよいというわけではありません。
まず営業所ごとに最低でも1名の運行管理者が必要です。
また、営業所の車両の数に応じて、最低限必要な運行管理者の数が決まっています。
車両が29両以下の場合には1人で、30両以上になると、30両増えるごとに1名の運行管理者がいなければなりません。具体的には30両~59両で2名、60両~89両で3名となります。
したがって、車両が20両しかなかったとしても、営業所が2箇所あれば、運行管理者は2名選任するということになります。
なお、ひとつの営業所に、複数の運行管理者がいるときには、その中から統括運行管理者を選任する必要があります。
運行管理者補助者
深夜配送なども行い、24時間体制で営業している運送会社では、運行管理者が1人しかいない場合には24時間働かなくてはいけなくなってしまうため、運行管理者に補助者を選任することができます。
運行管理者補助者も運行管理者と同じように誰でもなれるというわけではなく、運行管理者の資格が無い場合には、以下の要件を満たす必要があります。
- 独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)等の国交省が認定した講習実施機関で基礎講習を修了している
- 補助者の職務および選任方法などを運行管理規程に明記しておく
運行管理者の補助者を選任しても、それ自体を届け出る必要はありませんが、上記のように運行管理規程に記載する必要があります。
補助者が実施できる業務は、点呼(実施回数の3分の2未満まで)と運行管理者が実施する業務の履行補助です。
運行管理の質を向上させたり、運行管理者の負担を軽減する上では、運行管理補助者の選任は重要だと言えるでしょう。
運行管理者の兼任
運行管理者は、整備管理者と兼任することができます。
また、運行管理者は、営業所での運行管理や点呼執行などをしなければならないため、運行管理者を複数選任する場合や、運行管理補助者を選任する場合を除いては、運行管理者と運転者との兼任はできません。
まとめ
運行管理者は、運送業許可を取得するために不可欠な人員です。
3日間の講習を受けた上で、試験を受けて運行管理者の資格を取得するのは大変ですが、年単位で時間がかかることもある整備管理者に比べると、まだ準備がしやすいかもしれません。
シグマでは、運行管理者や補助者の配置なども含めて、事業全体の運送業許可取得、維持の観点から運送業者様をサポートしています。
運行管理者でお困りの方は、ぜひ一度お問い合わせください。
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