長距離輸送における中継輸送を実現する革新的な物流プラットフォーム「ドラ基地」の挑戦と未来
物流業界において、ドライバー不足や長距離輸送の負担軽減が大きな課題となっています。そんな中、中継輸送を活用した革新的なマッチングサービス「ドラ基地」(公式サイト)を提供する株式会社スペースが注目を集めています。
今回は、運送業に関する行政手続きの専門家である、行政書士法人シグマの阪本が、中小企業向けの中継輸送プラットフォーム「ドラ基地」を提供している株式会社スペースの代表取締役である村井美映様に、ドラ基地のサービス内容やその仕組み、メリット、技術的な工夫について伺いました。

ドラ基地のサービス
本日はよろしくお願いいたします。
本日はご来社いただきましてありがとうございます。よろしくお願いいたします。
早速ですが、株式会社スペースさんが提供されているドラ基地のサービス内容について教えていただけますか?
ドラ基地は、中小の運送会社同士が中継輸送を可能にするプラットフォームです。
お客様から長距離の荷物情報を入力いただくと、私たちがドラ基地のデータベースを活用して最適な運送を提案します。双方の走行距離を考慮し、中継拠点を提供することで、効率的な輸送を実現しています。
中継輸送の3つのメリットとは
中継輸送を利用することで、3つのメリットがあると伺っておりますが、一つずつ教えていただけますか?
1つ目のメリットは、空車回送の削減や帰り荷の安受け回避が可能になることです。
これにより、従来の長距離運行にかかるコストを削減できます。国土交通省との実証実験では、1運行あたり17,622円の利益が増加したという結果も出ています。
中継輸送をすることで効率化ができ、コスト削減につながるのですね。2つ目のメリットを教えてください。
トラックドライバーの確保、トラックの確保がしやすくなるというのが2つ目のメリットです。
1つの荷物を1台のトラックが長距離輸送する場合1泊2日はかかってくるのが、中継輸送をすることで日帰り運行にすることができます。それにより、2日目は新しいお仕事をすることができるようになり、トラックの確保がしやすくなるのです。
泊り運行を避けるドライバーさんが増えてきていますから、ドライバー不足の解消にも寄与しますね。3つ目のメリットは何でしょうか?
3つ目のメリットは、遵法物流、コンプライアンスの遵守につながることだと思っています。
国土交通省の実証実験では、長距離運行の拘束時間が1泊2日とか2泊3日を1運行とした場合に拘束時間23時間ぐらいでしたが、中継輸送をすることで日帰り運行が可能になり、拘束時間を12時間までに削減することができました。
中継輸送を行うことで拘束時間を11時間短縮できるのは素晴らしいですね。中継輸送を行いたい運送会社同士をどのように最適化しているのですか?
弊社では独自のロジックを持っております。例えば、A社の走行距離が300㎞、B社の走行距離が500㎞とした場合、片道で100㎞以上の差があったとしても、ドラ基地の独自のロジックを使うと、最適なマッチングがご提案できます。
A社とB社のそれぞれの走行距離の中間地点で中継しなくてもいいのですか?
このプロセスというのは、A社が運ぶお荷物が300㎞なら300㎞分、B社が運ぶお荷物が500㎞なら500㎞分ということで、走行距離に重量も含めて荷主と運送会社は運賃設定しますよね。その長距離運行をお互いの運行距離の範囲内で運送会社さんを折り返し運行させることによって、運賃の按分はなしでいきましょうということで、ドラ基地では中継輸送を実現しています。
なるほど。中継輸送を行う場合、この事例で言えば、A社とB社が折り返すための中継拠点は、荷主さんや運送会社さんが探さなければならないのでしょうか?
中継拠点もドラ基地側で提供しますのでご安心ください。今まではA社は300㎞以内の運行距離、B社は500㎞以内の運行距離という条件下でマッチングすることはできなかったのですが、ドラ基地独自のマッチング方法を用いることでマッチングすることができるようになりました。
中継輸送を行うことでドライバーの働き方にはどのような変化がありますか?
ドライバーは日帰り運行が可能になり、プライベートタイムが充実します。これにより、ドライバーのQOLが向上し、ワーク・ライフ・バランスが実現できたという声もいただいています。
泊り運行の場合、ドライバーは大型トラックと一緒に移動することになるので、スーパーに買い物に行くことは難しいですし、銭湯にも行けませんよね。
高速道路のサービスエリア・パーキングエリアでのトラックの駐車枠不足が深刻化しているので、泊り運行の場合は、ドライバーは駐車場探しで右往左往されています。中継輸送を行うことで駐車枠不足の問題の解消につながりそうですね。
さらに、日帰り運行になるとドライバーは休息期間を自宅で過ごすことができますので、過労運転防止にもなるのではないでしょうか。
ドラ基地の利用者さんからのフィードバックを受けて、どのようなサービス改善を行われていますか?
ドラ基地のサービスは常に磨き続けて行かなければいけないという大きなテーマをもっています。やはり、安心・安全面を充実させるということだと思います。トラックで輸送するので、どう頑張っても事故ゼロですとはやっぱり言えないです。
そういう意味でも、どれだけ安心して輸送ができるかということは、常に磨き続けないといけないことだと思いながら、サービスの改善を行っています。
中継拠点でトラックからトラックに荷物を移し替えの際のマニュアルは整備されていますか?
産業カテゴリーごとのマニュアル作成に向けて、中継輸送の実績を積み上げている状況です。現在は、マッチングして中継輸送がはじまった運送事業者さんには、貨物の種類ごとに作成したドラ基地オリジナルのマニュアルを作成してお渡ししています。
技術的工夫と中継輸送の運用方法
ドラ基地のシステムにはどのような技術的な工夫がされているのですか?
ドラ基地のシステムには2つの工夫があります。
1つ目は、さきほどお話した独自ロジックという部分です。中継輸送を行う場合、相手同士のマッチングは、今までは完全マッチングに近い方法しかありませんでした。例えば、大阪発東京行きの便があったら、東京発大阪行きの便を探してこないと中継輸送は組めませんでした。
システム上のロジックでいえば完全マッチングに近かったのですね。
それが、ドラ基地の独自ロジックでは、先ほどお伝えしたように、その片道の運行距離が100㎞以上の差があってもマッチングが可能になりました。
これが1つ目のシステムの工夫ですね。2つ目の工夫を教えてください。
2つ目の工夫はアプリです。
通常、荷物の中継輸送を行う場合はハンディーターミナルが必要になります。ドラ基地では、ハンディーターミナルではなくスマートフォンのアプリで完結させて、配達完了までのトレーサビリティに対応しています。
ハンディーターミナルではなくてアプリで完結できるのであれば、ドライバーや事業者さんの負担は減らせますね。
荷物の事故に配慮した施策として、積込み・中継・荷卸しのそれぞれの荷役地点で、アプリに写真を格納しています。
ドライバーにとっては写真を撮るだけという簡単な動作で、システムの中では、その荷物が事故なく中継されたどうかを、積地・中継地・卸し地の写真を使って、破損がないのか、汚れがないのかという突合をシステム上で行っています。
荷物の外観チェックを自動的にやっているのですね。物流支援サービスは様々ありますが、ドラ基地の強みや特殊性はどこですか?

ドラ基地では中継拠点を動かすことができるので、運送事業者さんが運行しやすいというところが強みだと思っております。
一般的な中継輸送は、固定した中継地を建設したりしてしまうため、他社同士では、どうしても運賃の按分という話が出てきます。
ドラ基地は中継地を固定しないで、各地に点在する中継地を選別します。だから、お荷物の発着地を基準にして中継輸送のご提案ができるということが、ドラ基地の強みだと感じております。
ドラ基地の中継輸送マッチングサービスは、荷主さんに対しては、貨物利用運送事業としてのサービス提供になりますか?
はい。荷主さんへは貨物利用運送事業としてのマッチングサービスを提供しています。荷主さんからみたらドラ基地を運営している弊社が元請けになり、実運送を一般貨物自動車運送事業者へ委託しています。
一般的な求車求貨システムは貨物取次事業として荷主と運送会社をマッチングするだけですが、ドラ基地は独自ロジックを使って中継輸送を行うことで、物流を効率化しているのですね。
荷主さんからいただいた案件は長距離のままですので、ドラ基地の独自ロジックを通して中継輸送ができるように便を仕立てます。仕立てた便を運送事業者さんに依頼をするのです。
物流業界への影響と今後の展望
中継拠点を提供するドラ基地のサービスが物流業界全体に与える影響について、どのように考えていますか?
ドラ基地の中継輸送が当たり前になってくると、運送事業者さんが担当エリア内を運行するだけで、効率的に全国規模の輸送が実現できると考えております。物流をより柔軟で安定したインフラにすることで、社会発展に寄与できるのが、ドラ基地の中継輸送サービスだと考えております。
運送事業者さんは自社の担当エリアを持っているけど、貨物は中継させるので、長距離移動が可能になるのですね。
そして、ドライバーの負担を減らし、法令順守にもなり、運送会社は車両の稼働率を上げることができるので、利益率が上がることになるのですね。
ドラ基地の中継輸送サービスが拡大することで、物流業界にどのような変革をもたらしたいと考えていますか?
物流業界へ革新的な物流の仕組みを提供して普及させていくことで、ドライバー不足の歯止めや、トラックの確保につながると考えています。
また、中継輸送を行うことでにより貨物の長距離移動を可能にしつつ、ドライバーの日帰り運行を実現することで、物流業界を女性が働きやすい業界へのイメージチェンジを図っていきたいとも考えております。
ドラ基地のサービスで、これから追加を検討しているサービスや機能があれば教えてください。
中継輸送の場合は、どうしても積み替えるという物理的な作業が発生するので、弊社が担っていければと思っております。
具体的にはフォークリフトの遠隔操作です。弊社の本社オフィスにフォークリフトマンが出勤し、そこから各中継拠点の積み替え作業を遠隔で操作するという未来ですかね。
今後といったら遠い今後になるのですが、安心安全、事故ゼロに近づいてくるサービス・機能なのかなと考えています。
中継拠点での荷物の積み替え作業が遠隔操作できるようになれば、積み替え作業の時間はドライバーの休憩時間に充てられますので、過労運転防止にも繋がりますね。
ドラ基地の中継輸送サービスを利用されたい荷主さんはどのようにすればよいでしょうか?
弊社のホームページに会員登録をしていただき、 随時発送している荷物情報の登録をお願いします。
登録いただいた荷物情報より、相性のいいお荷物を設定して、調整して、中継輸送へと組み替えて、提案をさせていただきます。
ぜひご登録をお願いします。
荷物情報の登録はできないけど中継輸送に興味があったり、ドラ基地の中継輸送サービス内容について詳しい話を聞きたいという事業者さんはどのようにすればよいでしょうか?
ホームページにあるお問い合わせフォームよりご連絡いただければ、私たちが事業者さんを訪問して説明に伺わせていただきます。
提供されている中継輸送サービスはAIを活用した最先端ですが、お問合せに訪問されて対応されていらっしゃるのですね。デジタルとアナログのハイブリットなのが、手厚い印象を受けました。
最後に、ずっと気になっていることがあるのですが、「ドラ基地」という名前の由来を教えてください。
ドライバーの中継基地という意味を込めて造語を作りました。アンケートを取った結果、親しみやすい名前として選ばれました。
ドラ基地は、耳に入りやすく一度聞いたら忘れないサービス名称だと思います!
本日はお時間をいただきましてありがとうございました。
ありがとうございました。
村井社長の情熱と革新的なアイデアが詰まったドラ基地の中継輸送サービスは、運送事業者の負担軽減や法令遵守の促進に貢献し、物流業界の効率化を推進する革新的な取り組みで、これからの物流業界にどのような変化をもたらすのか、ますます目が離せません。
ドライバーの働き方改革や運送コストの削減、そして業界全体の発展につながる可能性を秘めています。今後のさらなる進化に期待が高まるドラ基地。興味をお持ちの方は、ぜひドラ基地の公式サイトをチェックしてみてください。
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