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株式譲渡を利用した運送会社のM&Aに関する許認可申請手続き

近年、後継者不足による事業承継問題やドライバー不足やドライバーの長時間労働などの経営問題の解決を図るために、トラック運送業界でのM&Aが活発になっています。

運送会社のM&Aの手法としては、合併、会社分割、運送業(一般貨物自動車運送事業)許可のみの譲渡譲受であったりと、様々なスキームがありますが、行政手続きの観点からは最も簡便な方法と考えられる株式譲渡を利用した手法について解説します。

合併・分割・譲渡譲受を利用した運送業のM&A

運送会社の合併、会社分割、運送業許可の譲渡譲受を行う場合は、運送業を所管する国土交通省から貨物自動車運送事業法に基づく認可を受ける必要があります(審査は地方運輸局貨物課で実施されます)。

「認可を受ける」といっても、手引きに書かれている書類を提出すれば簡単に取得できるものではなく、新規許可取得とほぼ同じ条件を満たしていなければ認可を受けることはできません。

認可条件を満たしていることを添付書類上で明らかにしていくため、合併、会社分割、許可の譲渡譲受を行う場合は、運送事業を譲り受ける側においての、運送業許可の条件整備が重要になってきます。

また、合併や会社分割の場合は法務局への登記申請が絡む組織再編手続きになりますが、国土交通省より認可を取得していないと登記申請手続きを進めることができません。

株式譲渡を利用したM&A

一方で、運送会社のM&Aを株式譲渡を利用して行う場合は、株主が変わるということになります。

株主の変更には、国土交通省からの認可は不要ですし、株主変更後の届出手続きも不要です。

運送会社のM&Aを株式譲渡を利用して進めた場合、M&A以前の営業所・休憩睡眠施設・車庫を引き続き使用するのであれば、事業計画変更認可の申請も不要です。

こう書くと株式譲渡を利用して運送会社のM&Aを進めた場合、貨物自動車運送事業法上の変更手続きは一切不要になるようにも思えます。

株式譲渡に伴って変更届出手続きが必要なケース

たしかに、譲り受けた運送会社に対して何も手を加えなければ変更手続きは不要ですが、株式を譲り受けて子会社やグループ会社となった運送会社に対しては、次のような変更を行われることが通常多いのではないでしょうか。

  • 会社名を変更する場合
  • 本店所在地を変更する場合
  • 主たる事務所を変更する場合
  • 役員を変更する場合
  • 運行管理者や整備管理者を変更する場合
  • 車両を入れ替える場合

この中でも、車両の入れ替えは、車両の登録手続きの際に、営業所を管轄する運輸支局から発行された連絡書や手数料納付書に経由印が必要になりますので、変更届出手続きを失念することはないと思いますが、それ以外の変更手続きは、失念しやすいので注意が必要でしょう。

会社名の変更

承継した運送会社名に親会社名の一部を入れたり、地域名+親会社名に変更する場合があります。

会社名を変更した際は、法務局への変更登記申請手続きが必要になります。

法人登記簿が新社名に書き換わっても、運輸局が把握している会社名は自動的に変更されませんので、事業者が会社名の変更届出手続きを行う必要があります。

会社名を変更した場合には、車検証の書換や、車体表示も忘れずに変更しましょう。

本店所在地や主たる事務所を変更する場合

持株会社(ホールディングス)が運送会社を承継した場合など、登記簿上の本店所在地を親会社と同一所在地に変更する場合、法務局への本店移転登記申請とは別に、運輸局への届出手続きが必要になります。

そして運送会社の本店所在地を移転した場合にも、車検証の書換が必要になります。

また、運送事業の本店機能のある「主たる事務所」を登記簿上の本店と一緒に移転する場合にも、運輸局への変更届出が必要になります。

役員を変更する場合

株式譲渡により前経営者が退陣したり、前経営者は代表取締役から非常勤の取締役として当面の間は残るものの、親会社の人員を代表取締役、取締役、監査役として選任する場合など、承継した運送会社の役員構成に変更が生じるケースも多いです。

役員を変更する場合は、法務局への役員変更登録申請とは別に、運輸局への役員変更届出手続きが必要になります。

新たに選任する役員は、貨物自動車運送事業法令で規定されている欠格事由に該当していないことが要求されますので、株主総会にて選任決議を行う前に欠格事由に該当していないことの確認が必要になります。

運輸局へ役員変更届出書を提出する際は、欠格事由に該当していないことの宣誓書を添付します。

よくご質問いただくのが、「運送会社の経営者を変更した場合、後任の役員が運輸局が実施する役員法令試験を受験して合格する必要があるのかどうか」ですが、株式譲渡によって運送会社を譲り受けて新たに役員となった方は、役員法令試験の受験は不要です。

運行管理者・整備管理者を変更する場合

事業規模が大きくない運送会社の場合、運行管理者・整備管理者を経営者が務めている場合が多いです。

この場合、株式譲渡により前経営者が引退する場合、運行管理者・整備管理者の変更が必要になるケースがあります。

また、承継前の運行管理者・整備管理者を引き続き選任する場合であっても、親会社からの出向や転籍などで、運行管理者・整備管理者を新たに追加で選任する場合もあります。

運行管理者・整備管理者を変更・追加する場合も、変更届出手続きが必要な場合に該当します。

譲受会社の親会社・グループ会社で変更手続きが必要なケース

最後に、株式を譲り受けて運送業の許可を保有することになった会社の親会社やグループ会社でも変更手続きが必要になる場合がありますので、このケースをご紹介して終わりにしたいと思います。

貨物自動車利用運送を行う場合

承継した運送会社を庸車先とする場合、貨物自動車利用運送に関する手続きが必要になります。これまで庸車を使ったことのない運送会社の場合は、貨物自動車利用運送をはじめる認可を受ける必要があります。

すでに庸車を使っている場合は、承継した運送会社を庸車先として追加する変更届出手続きが必要になります。

おわりに

ここまで、運送会社を株式譲渡を利用したM&Aした場合の行政手続きについて解説いたしました。

運輸局への変更届出手続きは、意外と失念しやすい手続きですので、意図して怠ったわけではないにもかかわらず、変更届出漏れを巡回指導や監査の時に指摘されるのは不本意ではないでしょうか。

M&Aでは、財務や契約条件などに目が行きがちではありますが、許認可に問題が生じるとビジネスが継続できなくなってしまうことすらありますので、法務チェックの中でも非常に大切な要素です。

行政書士法人シグマは、運送業専門の行政書士事務所として、運送会社のM&Aに伴う運送業許可の許認可手続きの経験があります。

M&Aの際の行政手続きで不安がある事業者様は、ぜひ一度ご相談いただけますと幸いです。

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