運行管理者基礎講習を受講してみて
運行管理者の資格要件は運行管理者資格者証の交付を受けている者とされています。
この運行管理者資格者証の交付を受けるには、運行管理者基礎講習の受講を終了し、運行管理者試験(国家資格)に合格するか、もしくは、事業用自動車の運行の安全の確保に関する実務について国土交通省令で定める一定の実務の経験その他の要件を満足する必要があります。
基礎講習は国土交通大臣の認定する講習であり、受講を終了することで「事業用自動車の運行の管理に関し1年以上の実務経験を有する」とみなされます。
そのため、運行管理者試験を受験される人や、運行管理者の業務を補助する人(運行管理補助者)にこれから選任される人が、運行管理者基礎講習を受講されています。
運行管理者基礎講習は3日間に分けて約16時間行われます、受講者は運行管理を行うために必要な法令と業務に関する必要な知識の習得を目指します。
当行政書士事務所では、運輸業の許認可法務に携わるスタッフさんには、「貨物」もしくは「旅客」の運行管理者基礎講習の受講を義務付けています。
平成31年1月に横浜市で開催された「貨物」の基礎講習を、スタッフさんに受講してもらいました。
運送会社さんの許認可申請業務を行う上で、運送業に関係する法令を効率的に学べるのが基礎講習の場だと考えています。
講義を受けたスタッフさんの感想
講義は自動車運送事業に関する法令を学ぶ事からスタートしました。
貨物自動車運送事業法の目的条文を読み「輸送の安全を確保」「貨物自動車運送事業の健全な発達」「公共の福祉の増進」など重要なキーワードにラインを入れていきます。
運行管理で最優先に考えなければならないのは「安全性」だと言うことを受講者に再認識させるのが目的で、講師は何度もその話をしていました。
初日はほぼ法令集を読みながらの講義だったので、慣れない方には苦行と感じたかもしれません。
私の隣の席の女性も全く意味が分からないと話していました。
その方は長い間ドライバーとして仕事をしていたそうですが、1年前に事故で足を怪我してからは運転が困難になり、今回運行管理者資格を取得することになったそうです。
お互いに励まし合いながらの受講となりました。
二日目は社労士さんが労働基準法について講義をし、労働契約、賃金、拘束時間の限度と休憩時間の確保について学びました。
具体的な事例を提示していたので皆さん自分の現在おかれている状況と比べて考えることが出来たのではないかと思います。
三日目は一番実務に近い講義でした。
実際に運行管理者として勤務している方が講師だったので点呼の重要性、ドライバーの健康チェックの必要性をその方の実体験をもとに学ぶことが出来たのでとてもわかり易かったと思います。
ドライブレコーダーの映像を見ながら運転者がどういった状況だったかを考察する内容では実際の事故を体験しているようで冷や汗が出ました。
今回の講習で一番心に残り、基礎講習でも重要視していることはドライバーさんの健康管理です。
ドライバーさんは生活がかかっていることもあり、どうしても無理をしがちです。自己の不安な健康状態を隠す、健康診断を怠る、再検査を受けないなど現場では問題がたくさんあると思います。
その時に運行管理者が「事業者は健康診断を受けさせる義務があり、運転者は健康診断を受ける義務がある」と念頭に置くことで健康起因事故を防ぐ道が見えてくるのではないでしょうか。
基礎講習を受ければすぐに試験に受かるわけではありません。
でも基礎講習を受ければ現在の会社や自分の状況、運送業界の動向を知り考えるきっかけになると思います。
基礎講習の受講には、費用と時間がかかる上、3日間3人掛けの長机に、年齢や体型等も違う3人で座って講習を受けるという状況が集中しにくく、さらに、精神的にも肉体的にも辛いと感じる時もあります。
とはいえ、安全で質の高い運行業務を行うためにも、全てのドライバーさんに基礎講習の受講をお勧めしたいと感じました。
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