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運送会社の役員変更、登記だけで大丈夫? 運輸局への届出忘れと欠格事由の罠を専門家が解説

今回も、運送業の許認可申請を専門とする行政書士の阪本浩毅さんにお話を伺います。会社を運営していると、取締役や監査役といった役員の就任・退任・交代はよくある出来事です。しかし、運送業(一般貨物自動車運送事業)を営む法人の場合、この役員変更には注意が必要で、手続きを怠ると後々問題になることがあるそうです。今回は、運送会社の役員変更に伴う手続きと、その注意点について詳しく解説していただきます。

役員変更で必要な「2つの手続き」とは?

── 阪本さん、本日もよろしくお願いいたします。運送会社で役員が変わった場合、どのような手続きが必要になるのでしょうか?

阪本: よろしくお願いします。運送業を法人で経営されている場合、役員に変更(新任、退任、重任、辞任など)が生じたら、必ず「2つの手続き」が必要になる、ということをまず覚えておいてください。一つは、会社の登記情報を変更するための法務局での「役員変更登記申請」。もう一つは、運送業の許可を管轄する運輸支局への「役員変更届出」です。

── 法務局への登記と、運輸支局への届出、両方が必要ということですね。どちらか一方だけではダメなのですか?

阪本: はい、ダメなんです。法務局は会社法に基づいて会社の登記を管理し、運輸支局は貨物自動車運送事業法に基づいて運送事業の許可を管理しています。両者の情報は自動的には連携されませんので、それぞれに手続きを行う必要があります。法務局で登記だけ済ませて、運輸支局への届出を忘れてしまうケースが非常に多いので、注意が必要です。

手続きの基本的な流れと法務局への登記

── では、手続きはどのような流れで進めれば良いのでしょうか?

阪本: 一般的な流れとしては、まず、新たに役員になる方がいる場合は、その方が運送業の役員としての「欠格事由」に該当しないかを確認します。次に、法務局へ役員変更の登記申請を行います。そして最後に、運輸支局へ役員変更の届出を行う、という流れになります。

── 法務局への登記手続きは、自分たちでもできますか?

阪本: ご自身で行うことも不可能ではありませんが、会社の登記は会社法や商業登記法に則って厳格に行う必要があり、慣れていないと時間も手間もかかりますし、間違いも起こりやすいです。また、最近は、役員変更登記申請後の法務局の審査期間が長期化しています。手続きが不慣れな方が手続きを行うと、補正の連発で手続きがいつまで経っても終わらないということもあります。ですから、登記の専門家である司法書士さんにご依頼されることを強くお勧めします。顧問の税理士さんがいれば、紹介していただけることも多いですし、もちろん私どもにご相談いただければ、信頼できる司法書士さんをご紹介することも可能です。

運輸支局への届出:「宣誓書」と最重要チェック「欠格事由」

── 司法書士さんに登記をお願いした後、運輸支局への届出はどのように行うのですか?

阪本: 運輸支局へは、所定の「役員変更届出書」を提出します。関東運輸局管内では、事業計画変更の様式と共通になっていますね。様式は運輸局のウェブサイトなどからダウンロードできます。この届出書に必要事項を記入します。法人の代表者印の押印は求められなくなりました。加えて、もし「新しく就任する役員」がいる場合は、その方が署名または記名押印した「宣誓書」を添付する必要があります。

── 宣誓書、ですか。何を宣誓するのでしょう?

阪本: これは、新任役員の方が「私は、貨物自動車運送事業法第5条に定められている欠格事由に該当しません」と宣誓する書類です。この欠格事由に該当する人は、運送会社の役員になることができません。

── 「欠格事由」とは、具体的にどのような内容なのでしょうか?

阪本: かなり細かく規定されていますが、主なものとしては、1年以上の拘禁刑の執行終了から5年以内の方、過去5年以内に運送業の許可取消し処分を受けた方(法人役員だった場合なども含む)、許可取消し処分に関連して処分前に事業を廃止した方、成年被後見人の方、あるいは既存役員の中にこれらの欠格事由に該当する方がいる場合、などが挙げられます。単なる前科だけでなく、運送業界での過去のコンプライアンス違反なども問われるのが特徴です。

なぜ登記前の「欠格事由」確認が重要なのか

── なるほど、かなり厳しい内容ですね。この欠格事由の確認は、いつ行うべきですか?

阪本: 必ず、法務局へ役員変更登記を申請する「前」に行ってください。もし欠格事由に該当する方を役員として登記してしまった場合、後でその登記を抹消するための手続きが別途必要になり、司法書士さんへの報酬や登録免許税などが余分にかかってしまいます。まさに二度手間です。

── とはいえ、新しく役員になる方が欠格事由に該当するケースは稀なのでは?

阪本: そう思われる経営者の方も多いのですが、「過去にこういうことがあったのだけど、役員になれますか?」といったご相談は、実は少なくありません。ご本人が欠格事由に該当するかどうか、確信が持てないケースもあるのです。ですから、「うちに限って大丈夫」と過信せず、新任役員の方には必ず事前に確認をとるべきです。

届出の期限はいつまで? 代表権の有無で異なるルール

── 運輸支局への役員変更届出には、提出期限があるのでしょうか?

阪本: はい、あります。そして、その期限は、変更する役員が「代表権を持つ役員(代表取締役など)」か「代表権のない役員(平取締役や監査役など)」かで異なります。

── どのように違うのですか?

阪本: 代表権のある役員に変更があった場合は、変更が生じたら「遅滞なく」届け出る必要があります。明確に何日以内、という規定はありませんが、速やかに行うべきとされています。一方、代表権のない役員の変更については、少し特殊なルールで、毎年7月1日から翌年6月30日までの1年間に生じた変更をまとめて、翌年の7月31日までに届け出れば良い、とされています。

── 代表権のない役員なら、年に1回まとめて手続きすれば良いのですね。

阪本: 制度上はそうなのですが、私は、代表権のない役員の変更についても、変更が発生するたびに「遅滞なく」届け出ることを強くお勧めしています。

届出忘れが招く不利益:巡回指導や他の申請への影響

── なぜ、まとめてではなく、その都度届け出た方が良いのですか?

阪本: 年に1回まとめて、と思っていると、うっかり忘れてしまうケースが本当に多いのです。その結果、法務局の登記簿上の役員構成と、運輸局が把握している役員構成に食い違いが生じてしまいます。この状態は、いわば「届出義務違反」の状態です。

── その食い違いがあると、何か問題が起こるのでしょうか?

阪本: 大きな問題に繋がる可能性があります。まず、定期的に行われる運輸支局の「巡回指導」や、何か問題があった際の「監査」などで、この役員構成の不一致は必ず指摘されます。これは、会社の管理体制がずさんである、と見なされかねません。さらに、例えば営業所や車庫の移転・新設、あるいは事業計画の変更など、他の認可申請や届出を行おうとした際に、役員情報が不正確なことが発覚すると、その申請手続きがストップしてしまいます。まずは役員変更届出を正しく行ってからでないと、他の手続きに進めないのです。これは、事業運営上、大きな不利益になりえます。ですから、「適正な許認可管理」という観点からも、役員変更があったら、代表権の有無に関わらず、その都度速やかに運輸支局へ届け出る習慣をつけることが重要です。

役員変更は「登記+届出」をセットで! 専門家への依頼も検討

── なるほど、届出忘れは絶対に避けたいですね。

阪本: その通りです。改めて強調したいのは、役員変更があった際は、法務局への「登記」と運輸支局への「届出」は必ずセットで行う必要がある、ということです。登記が完了しても、運輸局の情報は自動更新されません。

── 最後に、事業者の方へメッセージをお願いします。

阪本: 役員変更は、会社運営において日常的に起こりうることですが、運送業においては、その手続きが事業の適正な運営に直結します。欠格事由の確認を怠らないこと、そして法務局への登記と運輸支局への届出を必ずセットで、かつ遅滞なく行うこと。これを徹底していただきたいと思います。もし、登記は司法書士に依頼したけれど運輸支局への届出を忘れていた、あるいは巡回指導で指摘されてしまった、というようなことがあれば、私ども行政書士法人シグマで、運輸支局への届出書類の作成・提出代行を承っておりますので、お気軽にご相談ください。

── 手続きの重要性がよく分かりました。本日もありがとうございました。

阪本: こちらこそ、ありがとうございました。

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