国土交通省主催のデジタコに関する理解向上セミナーに参加しました。
2025年11月4日(火)、当法人の阪本が、国土交通省が主催する「デジタル式運行記録計(デジタコ)に関する理解向上セミナー」に参加いたしました。
物流業界は今、「2024年問題」に伴う時間外労働の上限規制適用、改善基準告示の改正、そして深刻化する高齢化や人手不足といった大きな課題に直面しています。
今回のセミナーは、これらの課題解決の鍵となるデジタコの装着意義と、政府の最新の政策動向について理解を深める絶好の機会となりました。本記事では、セミナーで得られた重要なポイントを皆様に共有いたします。
Contents
なぜ今、デジタコが強力に推進されるのか?
セミナーではまず、政府がデジタコ普及を強力に推進する背景が説明されました。
- 喫緊の課題: 2024年度からの運転者への時間外労働上限規制の適用(働き方改革関連法)や、拘束時間・休憩時間などが厳格化された「改善基準告示」の改正への対応が急務です。
- 深刻な人手不足: トラックドライバーの有効求人倍率は全産業平均の約2倍と高く、担い手不足が続いています。
- 国の政策パッケージ: こうした状況下、政府は令和5年9月に関係閣僚会議で「物流革新に向けた政策パッケージ」を決定。「デジタコの強力な普及促進」を明記し、運行管理の高度化による安全確保と働き方改革を目指しています。
将来的な「義務化」も視野に。デジタコ普及のロードマップ
現在、車両総重量7トン以上または最大積載量4トン以上のトラック等には運行記録計の装着が義務付けられていますが、アナログ式(紙のチャート紙)も認められています。
しかし、政府は将来的なデジタコの義務付けを視野に入れており、具体的な普及目標を設定しています。
- 普及目標: 2027年までにデジタコ装着率を85%(貸切バス義務化時と同水準)まで引き上げる。
- 義務化の検討: 2025年~2027年に毎年フォローアップ調査を実施し、2027年度末に義務化の要否を検討する方針です。
アナログからデジタルへ。デジタコ導入の圧倒的メリット
運行管理に柔軟性もたせるため、あえてアナタコを使用されている運送事業者様もいらっしゃいますが、セミナーでは、アナログの課題(目視での読み取り、日報の手書き作業、集計の手間)に対し、デジタコが持つ優位性が強調されました。
| 比較項目 | アナログタコグラフ | デジタルタコグラフ(デジタコ) |
| 記録・読取 | 円盤型チャート紙。目視で読取。 | SDカードやクラウドに自動記録。データ転送・集計が容易。 |
| 運転日報 | 手書き(出庫・到着時刻、メーター値等)。手間・ミスが発生。 | 自動作成・出力が可能。 作業が大幅に簡素化。 |
| 労務管理 | 目視と手集計に依存。 | 勤務時間をデータで正確に記録。労務管理が高精度化・効率化。 |
| 安全指導 | 記録の分析に時間がかかる。 | 速度超過、急ブレーキ等を自動検知・記録。データに基づく的確な指導が可能。 |
| その他機能 | (限定的) | リアルタイムな位置情報(GPS)把握、配車最適化、緊急時対応。 |
デジタコが創出する「時間」と「安全」
この比較表で示されるように、デジタコ導入による最大の効果の一つは「価値ある時間の創出」です。
具体的には、運転者にとっては、これまで業務終了後に手書きで作成していた運転日報の作成時間が大幅に削減されます。
同時に、運行管理者(事務員)にとっては、提出された日報やアナタコのチャート紙を目視で確認し、データを手入力・集計する業務が劇的に削減されます。
こうして創出された時間は、単なる残業削減に留まりません。運行管理者が日々データ処理に追われるのではなく、運転者一人ひとりと向き合うコミュニケーション(データに基づく具体的な安全指導や、日々の健康状態の確認など)の時間をしっかりと確保することに繋がります。
この「対話の時間」こそが、最終的に事故防止と安全文化の醸成に大きく期待できる点であり、デジタコ導入の非常に重要な側面と言えるでしょう。
導入コストを支援する補助金制度
デジタコ導入の障壁となる費用負担に対し、国交省は「事故防止対策支援推進事業」として補助金を継続しています。
- 補助対象: 中小トラック事業者
- 補助率: 導入費用の1/3(令和6年度当初予算)
- 上乗せ: 保有台数が一定未満の小規模事業者等には1/2へ上乗せ(令和6年度補正予算)
- 次年度: 令和7年度(次年度)も中小企業向けに継続予定とのことです。
※補助金には要件や申請期間があります。最新情報は国土交通省のHPなどでご確認ください。
国土交通省主催「デジタコに関する理解向上セミナー」のご案内
今回私が参加したセミナーと同様に、国土交通省が主催する「デジタコに関する理解向上セミナー」が、令和7年11月に全国5カ所で開催される予定です。
「2024年問題」への対応やDXによる生産性向上の観点から、デジタコの活用はますます重要になっています。このセミナーは、デジタコの機能と効果について理解を深め、運行管理の質の向上と業務効率化を図ることを目的としています。
私たちが本記事でご紹介したようなデジタコのメリットについて、より具体的な情報を得られる絶好の機会です。
セミナーのポイント:
- 体験型:デジタコメーカー各社が出展するブースが設置されます。メーカー担当者から直接説明を聞いたり、実際の機器を見て触って確認したりできる「体験型」のセミナーです。
- 最新情報:「デジタコ装着の意義と最新の政策動向」についての解説 や、具体的な活用方法・事業者インタビューを交えた紹介動画の上映 がプログラムに組まれています。動画では導入時にドライバーさんにどのような説明をされたのか、導入後のどのような効果が得られたのかなどを知ることができます。
- 参加しやすい: 参加費は無料で、開催時間中の入退場も自由です。
デジタコの導入を具体的に検討されている事業者様はもちろん、まずは最新の情報を知りたい、各社の機器を比較してみたいという事業者様にとっても、非常に有益な内容となっています。
ご興味のある事業者様は、ぜひこの機会にご参加されてみてはいかがでしょうか。
お申し込みは、国土交通省のプレスリリース(令和7年10月6日発表) の記載をご参照ください。
まとめ
セミナー後の会場後方では、各社の最新デジタコメーターの展示ブースが設けられ、多くの参加者が熱心に情報収集をしていました。
今回のセミナーを通じて、デジタコは単なる「運行記録計」ではなく、「労務管理の精度向上」「業務効率化(日報自動化)」「データに基づく安全指導」を実現し、2024年問題や人手不足といった構造的な課題を乗り越えるための必須ツールであることを再認識しました。
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