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ドライバーの休息は安全の基本!運送業許可に必要な「休憩・睡眠施設」の設置基準を解説

運送業の安全運行には、ドライバーさんの適切な休息が不可欠です。そのため、トラック運送業(一般貨物自動車運送事業)の許可要件には、休憩や睡眠のための施設に関する規定も設けられています。今回は、この「休憩・睡眠施設」について、運送業許認可のエキスパートである行政書士の阪本浩毅先生に詳しく解説していただきます。

──阪本先生、今回もよろしくお願いします。営業所や車庫と並んで、ドライバーさんのための「休憩施設」や、場合によっては「睡眠施設」も必要になるとのことですが、これも許可の要件なのですね?

阪本:はい、よろしくお願いします。おっしゃる通り、ドライバーさんが業務の合間や業務終了後に、適切に休息を取り、疲労を回復できる環境を整備することは、法令遵守の観点からも、そして何より輸送の安全を確保する上で極めて重要です。そのため、一般貨物自動車運送事業の許可を取得するためには、必ず「休憩施設」を設けることが必須要件とされています

さらに、例えば長距離輸送や夜間運行など、ドライバーさんに営業所や車庫で仮眠や睡眠を取らせる必要があるような運行計画を立てている場合は、休憩施設に加えて、専用の「睡眠施設」も設置しなければなりません。これらは、見落とされがちですが、非常に重要な許可要件の一つです。

──まず、これらの休憩・睡眠施設は、どこに設置しなければならないのでしょうか? 場所についてのルールはありますか?

阪本:休憩・睡眠施設の設置場所については、原則として、営業所または車庫のどちらかに併設すること、と定められています。つまり、営業所の建物の中や同じ敷地内、あるいは車庫の敷地内に設ける必要がある、ということです。独立した場所に設けることは原則として認められません。

──もし、営業所の建物や敷地内にスペースがなくて併設できない場合は、どうすれば良いのでしょうか?

阪本:営業所に併設することが難しい場合は、必ず車庫に併設する必要があります。そして、もしその車庫が営業所から離れた場所にある場合は、以前、車庫の要件のところでお話しした「営業所からの距離制限」と同じ基準を満たす必要があります

繰り返しになりますが、関東運輸局管内であれば、営業所の所在地が東京都23区・川崎市・横浜市の場合は、営業所からの直線距離が20km以内にある車庫、それ以外の関東甲信越地域の場合は、直線距離で10km以内にある車庫に併設しなければならない、ということになります。

──なるほど、設置場所は「営業所」か、あるいは「営業所から一定距離内の車庫」のどちらかに併設する、ということですね。次に、施設の「設備」については、どのような基準があるのでしょうか? まず、必須である「休憩施設」について教えてください。

阪本:休憩施設は、その名の通り、ドライバーさんが業務の合間などに、しっかりと心と体を休めることができる場所でなければなりません。ですから、単に「休憩室」という名前の部屋があれば良い、というわけではありません。

例えば、名目上は休憩室でも、実際には書類やタイヤ、工具などが山積みになっていて、とても座って休めるような状態ではない「物置状態」になってしまっているとか、あるいは、人が休憩することもできないほど極端に狭いスペースしかない、といった状態では、休憩施設として認められません。また、営業所の建物内に休憩スペースはあるけれど、営業時間が終わると事務所全体が施錠されてしまい、夜間や早朝に戻ってきたドライバーさんが自由に入って利用できない、といった運用も不適切です。

最低限、ドライバーさんがリラックスして座れるソファーや椅子などが設置されており、清潔で、適切な広さが確保されていることが求められます。要は、「ちゃんと休憩できる実態があるか」が問われるわけです。

──ちゃんと「休憩できる」実用的なスペースが必要なのですね。では、仮眠などを取るための「睡眠施設」を設置する場合は、どのような設備基準がありますか?

阪本:睡眠施設を設ける場合は、休憩施設よりもさらに明確な「広さ」に関する基準が定められています。

それは、「同時に睡眠または仮眠をする可能性のあるドライバー1人あたり、2.5平方メートル以上の広さ」を確保しなければならない、というものです。2.5平方メートルというと、だいたい畳1畳半弱、布団一組を敷いて、人が手足を伸ばして寝られるくらいのスペースをイメージしていただければ良いかと思います。

──その基準は、どのように計算すれば良いのでしょうか?

阪本:計算式で示すと、「(同時に睡眠・仮眠を取る可能性があるドライバーの最大人数)× 2.5平方メートル ≦ 確保すべき睡眠施設の総床面積」となるように、スペースを確保する必要があります。

例えば、運行計画上、最大で同時に3人のドライバーさんが営業所または車庫で仮眠を取る可能性がある、ということであれば、3人 × 2.5㎡ = 7.5㎡ 以上の有効な床面積を持つ睡眠施設を用意しなければならない、ということになります。この基準を満たせない場合は、睡眠施設として認められません。

──営業所の建物の中に、休憩施設や睡眠施設を設ける場合、何かレイアウトなどで注意することはありますか?

阪本:はい、もし営業所の建物の中に、執務スペース(事務所)と休憩・睡眠施設を同居させるような形で設ける場合は、それぞれのスペースが、きちんと独立した区画となるように、明確に仕切る必要があります。

──「仕切る」というのは、必ず壁などを作って完全に部屋を分けなければいけない、ということでしょうか?

阪本:いいえ、必ずしも頑丈な壁で完全に区切る必要まではありません。

例えば、事務所用のパーテーション(間仕切り)を設置して空間を区切ったり、あるいは背の高いキャビネットなどの家具の配置を工夫したりするなどして、それぞれのスペース(執務エリア、休憩エリア、睡眠エリア)が視覚的にも機能的にも明確に区別され、かつ、それぞれの機能(仕事をする、休む、寝る)に必要な面積がきちんと確保されている状態であれば、問題ありません。

重要なのは、仕事をする場所と休息を取る場所が、きちんとゾーニングされている、ということです。

──なるほど、明確に区画分けされていれば良いのですね。これまでのお話で、営業所や車庫の確保が大変だということはよく分かりましたが、意外とこの休憩・睡眠施設の準備も、見落とせない重要なポイントだということが分かりました。

阪本:まさにおっしゃる通りです。運送業許可の取得に向けた準備を進めていると、どうしても営業所や車庫といった、契約や費用が大きく関わる物件の確保に意識が集中してしまいがちです。

その結果、この休憩・睡眠施設の準備が後回しになってしまったり、場合によっては「許可申請の直前になって、休憩スペースのことをすっかり忘れていた!」なんていうケースも、実は少なくないのです。

しかし、これも他の要件と同様に、クリアしなければ許可は下りない、立派な許可要件の一つですから、決して軽視できません。

──では、どのように準備を進めるのが良いでしょうか?

阪本:一番良いのは、営業所や車庫の物件を探す段階から、この休憩・睡眠施設のことも念頭に置いておくことです。

候補物件を見つけたら、「この物件なら、営業所の執務スペースとは別に、休憩施設(必要であれば睡眠施設も)を設けることができるか?」「それぞれの施設に必要な広さは十分に確保できるか?」「営業所と区切ることは物理的に可能か?」といった視点も持って、物件全体を評価し、検討することが非常に重要です。

営業所と車庫だけ決めて契約してしまった後で、「しまった、休憩スペースが全然足りない!」となっても、そこから追加でスペースを確保するのは非常に難しい場合が多いですからね。

──ちなみに、休憩・睡眠施設の立地(用途地域など)や建物(適法性)、使用権原(賃貸借契約など)に関する基準は、営業所と同じように考えるのでしょうか?

阪本:はい、その通りです。休憩・睡眠施設に関しても、営業所と同様の基準が適用されます。つまり、設置できない用途地域がありますし、建物は適法建築物である必要があり、使用権原も明確でなければなりません。

具体的な基準については、前回までにお話しした営業所の施設基準に関する解説(もしよろしければ、過去の記事などもご参照ください)が、大部分そのまま当てはまりますので、そちらも参考にしていただければと思います。

──営業所や車庫の確保とセットで、計画的に準備を進めるべき重要な施設だということが、非常によく分かりました。

阪本:はい、ご理解いただけて良かったです。私ども行政書士法人シグマに運送業許可の申請手続きをご依頼いただければ、当然ながら、この休憩・睡眠施設の設置要件についても、お客様の事業計画や運行形態に合わせて、どのような施設が必要で、どの程度の広さが必要か、といった点を明確にし、物件探しの段階から適切なアドバイスをさせていただいております。

候補物件が見つかれば、営業所・車庫と合わせて、休憩・睡眠施設の要件も満たせるかどうかをしっかりと確認しながら、許可取得に向けた準備を確実に進めていきます。もし、候補物件で本当に許可が取れるかどうかご不安な場合は、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。

──今回もありがとうございました。ドライバーさんの働く環境を整える上でも重要なポイントですね。

阪本:おっしゃる通りです。ありがとうございました。

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